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ソフトバンク、岩手競馬と提携 馬券をネットで全国販売

» 2005年09月06日 12時29分 公開
[ITmedia]

 ソフトバンクグループは9月6日、岩手県競馬組合(管理者・増田寛也知事)と業務提携すると発表した。同組合が主催する「岩手競馬」の勝馬投票券(馬券)のインターネット販売と払戻金の交付などをソフトバンクグループに委託。ソフトバンクグループは来年4月から、インターネットによる馬券販売やレースの動画中継などを始める。

増田寛也・岩手県知事(右)と孫正義社長

 提携では、ソフトバンクグループが岩手競馬のWebサイトを新設し、出走馬や騎手、オッズなどの関連情報を掲載。情報を参考に、ネットから馬券を購入できる。また全レースのネット中継も行い、全国から同競馬を観戦できるようにする。地元専門誌の編集長によるブログなども展開する。決済方式など、詳細は今後詰める。

 この日午前、都内で開いた会見で、ソフトバンクの孫正義社長は「Yahoo!やイー・トレードなど、グループのノウハウを複合的に活かし、新しい時代の競馬に貢献していきたい」と語った。

 中央競馬でもファン離れが進む中、地方競馬は苦戦が続き、2000年に30あった競馬場は現在22に減った。ピークの1991年度には9800億円あった収入も、2004年度は3800億円に。退潮傾向に歯止めがかからない。

 岩手競馬も90年代初頭のピーク時には収入が700億円弱だったが、本年度は300億円にまで落ち込む見込み。累積赤字は昨年度末で140億円に上るなど、苦しい状況が続く。ファン層の拡大を図る一手として馬券のネット販売を再建計画に盛り込み、ソフトバンクやライブドアなど複数の企業と提携交渉を進めてきた。

 会見に同席した増田知事は、提携先にソフトバンクを選んだ理由を「広範な営業力やテクノロジー、確実な決済機能に加え、孫社長が競馬事業に深い理解と熱意を持っていたこと」と説明。ネット経由の馬券販売収入を「初年度は10億円を期待している。将来は80億円程度に伸ばしたい」と語った。

 孫社長は「20〜30代の競馬離れが指摘されているが、競馬を題材にしたゲームなどは20〜30代に受け入れられており、若者層の潜在需要はないわけではない」と指摘。地方競馬は中央競馬に比べ、ネット活用で出遅れている。ネットによる詳細な情報提供や動画中継など、新しい工夫でファン層が全国に広がり、売り上げは増えるだろう」と話した。成功すれば他の地方競馬とも提携を拡大したい意向だ。

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