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“出会い記録装置”を学会で活用 人間関係マップと連携

» 2005年09月08日 16時29分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「この人、誰だったっけ?」――学会で名刺交換を繰り返すうち、誰が誰だか分からなくなる――そんな困った事態を防ぎ、人間関係をつなぐサポートをする装置「テーブルトップ・コミュニティ」を、独立行政法人・産業技術総合研究所(産総研)が試作した。

 複数のRFIDリーダーを埋め込んだ丸テーブルと、テーブルの周囲を360度撮影できる全方位カメラで構成する装置。ユーザーがリーダーにIDカードを置くと、カメラが周囲にいる人を撮影し、ID情報と一緒に保存してくれる仕組みだ。画像や情報は、テーブル上のディスプレイで確認できるほか、ネット上にも保存される。

photo FeliCaカードとFeliCaリーダーを利用する

 テーブルトップ・コミュニティは、産総研、国立情報学研究所、大日本印刷(DNP)の3組織共同で開発した、学会やイベント会場での情報交換を支援するシステムの一環。12日から開かれる「ユビキタスコンピューティングに関する国際会議」(14日まで、高輪プリンスホテル)で運用して実用性を確かめ、展示会やパーティー会場などでの活用を視野に研究を進める。

 DNPは、研究の概要や発表者情報を2次元バーコード化し、学会プログラムや展示物に印刷する「インフォメーションクリップ」を提供する。携帯カメラでバーコードを撮影するだけで、見学・聴講済みの発表をチェックしたり、コメントを付けてネット上にアップしておける。

 RFIDリーダー付き携帯電話試作機とRFIDを使ったシステムも構築。ポスターなどにRFIDを張りつけておけば、2次元バーコードよりも簡単に情報を読み取れる。

photo RFIDリーダー付き携帯電話試作機
photo DNPは、アノトペンを使い、ネット上とリアル空間で掲示板を共有する仕組みも開発した。学会会場に設置した専用シートにアノトペンで書き込めば、ネット上の掲示板にも同じ内容が書き込まれる

 テーブルトップ・コミュニティで出会った人の画像や、インフォメーションクリップで記録した学会の情報などは、帰宅後にユーザーポータルで確認できる。ポータルにはブログ機能を装備。情報が更新されるごとに「Aさんと会った」「Bという発表を聴講した」などといったエントリーが自動生成され、帰宅後にコメントをつけられる。ブログシステムは、国立情報学研究所が開発した。

 人間関係マップを作るシステム「ポリフォネットカンファレンス」もポータルに取り入れた。ネット上の情報を自動解析し、研究者同士の学問的なつながりを推定してマップ化する。学会の参加者と自分の研究との関係などを確認でき、人間関係のネットワークを広げられる。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のように、知り合いとのリンクを張り合うこともできる。

photo ユーザーポータル。右側に、関連のある人と自分との関係が表示され、左下に人間関係マップが表示される
photo ユーザーの人間関係マップ「ポリフォネットカンファレンス」

 「研究者同士が出会い、つながるシステムを作りたかった」――国立情報学研究所の武田英明教授は、3年前、この分野の研究を始めたきっかけをこう説明する。リアルな出会いの場である場である学会で、効率的に人脈を広げる仕組みとして開発を続けてきた。

 当初はSNSがほとんど普及していなかったため、仕組みを理解してもらうのが難しく、知り合いリンクを登録してくれる人も少なかったという。「SNSが普及したおかげで、理解してもらいやすくなった」(武田教授)

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