ITmedia NEWS >

DEMOカンファレンスで新興企業各社が自社製品をアピール

» 2005年09月22日 16時47分 公開
[Ryan Naraine,eWEEK]
eWEEK

 米カリフォルニア州ハンティントンビーチで開催中のDEMOカンファレンスは、1990年代の雰囲気が漂っている。ドットコム企業や起業したての新興企業各社があちこちで、記者やベンチャーキャピタリストを相手に、「流れを変える次なるアイデア」を売り込んでいる。

 ただしバブル期と違うのは、話が技術に関することだけではないという点だ。ビジネスモデルの本質が、議論の重要な要素となっている。

 社員3名のプライバシー/セキュリティ企業UniPrivacyのポール・デービー社長は次のように語っている。「確かに、状況は異なる。このカンファレンスにはドットコムの雰囲気が漂っているが、行き過ぎた感じはない」

 同氏はDeleteNowを披露すべく、同社のチャズ・バーマンCEOとともに、このカンファレンスに参加した。DeleteNowは、Web上の検索エンジンやデータベースから個人情報や機密データをくまなく探し、削除するという月額2ドル99セントのサブスクリプションサービスだ。

 同社は15万ドルの自己資本で創業した会社。これまでで最大の支出は、同サービスの宣伝のためにPR会社に支払った料金だという。

 バーマン氏は当然のことのように、次のように語っている。「私たちは、関心を持ってもらうためにここにいる。当社には、ライバルなど存在しないような貴重なビジネスがある。私たちは、それを皆に披露するためにここにきた」

 舞台では、60社以上の企業の代表者らが、ネットワーク接続の不具合を物ともせずに、自社の宣伝を行っている。規則では、各社は混み合った展示会場への来訪者に自社ブースに立ち寄ってもらえるよう、壇上で6分以内に自社製品をアピールすることになっている。

 プレッシャーをうまく処理できている会社もあれば、苦労している会社もある。

 サンフランシスコで広告駆動型のWi-Fiネットワークをテスト中のFeevaは、音楽的な仕掛けも加えてデモを行った。

 Feevaの計画は、全米に無料のWi-Fiネットワークを構築し、パートナーに代わって、ターゲットを絞った広告を配信するというもの。同社CEOのニティン・シャー氏は次のように語っている。「当社のネットワークは、ユーザーがネットワーク上で使っているデバイス、ユーザーのロケーション、ユーザーの嗜好を判別できる。いったんユーザーがログオンすれば、私たちには、そのユーザーが誰であり、どこにいるのか、何をしたいのかが分かる。それは広告主にとって、非常に価値のあることだ」

 「Wi-Fiは無料で提供され、ユーザーはもらって嬉しい広告を受け取る。ユーザーがどこにいようと、当社はパーソナライズされた体験を提供できる」

 カリフォルニア州レッドウッドシティの非公開の新興企業U3もデモを披露した。同社は、外勤ユーザーがPCまるごと1台分のデータをフィンガーサイズのUSBフラッシュドライブに保存できるようにするためのプラットフォームを提供している。

 U3のCEOケイト・パーマル氏はきびきびとした動作で、このプラットフォームの実力をアピールした。この技術は既に、SanDisk、Kingston Technology Company、Memorex Products、およびVerbatimに支持されている。

 パーマル氏によれば、U3のプラットフォームはフラッシュドライブの用途を単なるストレージ以上のものに拡張する。このプラットフォームを使えば、単にデータファイルを転送するのではなく、ワープロやインスタントメッセージング(IM)アプリケーション、音楽プレーヤーなどのソフトウェアアプリケーションを、保存された設定とともに移動できる。

 MicrosoftやGoogle、Yahoo!などの大手に既に占有されているビジネス分野においても、幾つかの新参企業がひねりを利かせた新技術を披露している。

 例えば、EverEZ Systemsは電子メールとファイル管理をデスクトップ上で統合する技術EverDeskを披露している。

 またTrimergentは、大手ベンダーのデスクトップ検索技術の範囲を越え、複数の検索ソースからの情報を集計するPersonal Information Networksで企業にリーチを広げている。

 同社は、この技術により、シンプルかつセキュアで同期的な方法により、エンタープライズ全体でのデータ共有が可能になると語っている。同社は自己資本で創業した。

 コンシューマー分野では、写真管理と画像ソフトの企業が幾つか、デジタル画像分野の成長をチャンスに生かそうとしている。FilmLoopは自身を写真のブロードキャストネットワークと位置付け、デスクトップ上のデジタル画像をコラボレーティブな方法で共有できるループに変換するソフトを披露している。

 カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くFilmLoopは、ベンチャーキャピタルのGlobespan Capital PartnersとGarage Technology Partnersから560億ドルの資金を調達し、創業した新興企業だ。同社は、この技術はブランディングキャンペーンで最新画像を使いたい企業にとっても魅力的なはずだと語っている。

 またLight CraftsはAdobeに対抗し、広く普及している同社のPhotoshopプログラムは複雑すぎて使えないというプロの写真家にアピールしたい考えだ。起業したての新興企業である同社は、タッチアップの手順をガイドする画像編集パッケージLightZoneを提供している。

 同社CEOのディーン・タッカー氏は次のように語っている。「Photoshopは写真家にピクセルペインターになることを強いる。写真家は、グラフィックプログラマー向けに設計されたソフトウェアに苦労している。私たちは、彼らがこうした複雑な操作なしでも作業できるようにする」

 ベンチャーキャピタルの支援を受けて創業した新興企業のH3.comも、新製品を披露している。同社はソーシャルネットワーキングの概念を職業斡旋に応用したいと考えており、同社のツールは、報奨金制度を使って、ネットワーク内に職業斡旋の輪を広げることを目指している。

 またgNumberは、携帯電話から電子商取引を処理できるようにする新サービスUnwired Buyerを披露している。このサービスは、リアルタイムの価格と在庫情報に基づくコールのトリガーや、オンラインオークション取引の処理にも利用できる。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.