Windowsへの移行でPalm OSの将来に暗雲?
米Palmがスマートフォン「Treo」でWindows Mobileを採用するとの9月27日の発表を受け、ITマネジャーの間では「Microsoft OSとPalm OSのどちらがユーザーにとってより良い選択肢か」をめぐって議論が起きている。
だが発表後に取材した10人のITマネジャーは、次の意見に関して全員一致していた――サポートを簡略化するために、どちらか1つのモバイルOSを導入したい。
「基本的に、私自身はMicrosoft嫌いではないし、これから5年の間にWindows Mobileを導入したいと思うかもしれない」と話すのは、ウィスコンシン州シェボイガンフォールズに拠点を置く米Bemis Manufacturingの企業情報システム担当副社長、ブルース・ヘーゲン氏。「(だが)サポートするOSは1本に絞りたい。1つでもサポート上の課題は多過ぎるのに、ましてや(2本など)とんでもない」
Bemisでは、現在約50人のエンドユーザーがPalm OSベースの「Treo 650」を使ってExchange電子メールサーバにアクセスし、またGood TechnologyのGoodLinkサービスを通じて音声通話を行っている。ヘーゲン氏によれば、MicrosoftとPalmがWindowsベースの新デバイスで約束するすべての機能が、GoodLinkの現行サービスでは既に提供されているという。今回の発表によってPalmがPalm OSから手を引くことはないだろう、と同氏は予測している。
一方、全米各地でプロパンガス小売り業を展開する米Ferrellgas Partnersのモビリティ担当マネジャー、ドリュー・マツァイティス氏は、Palmの市場シェアは「急速に浸食されつつある」と言う。9月27日のPalmの発表を受け、「(Palm OS)の最期が日ごとに現実味を帯びている」とも。
Ferrellgasでは、サービスマンが使うカスタマイズしたハンドヘルドデバイス4000台と、幹部用の約50台のSamsung製携帯電話にWindows Mobileを標準採用している。
「Microsoftベースのマシンを供給するのが嫌になるほど、Microsoftは製品を改良し続け、さまざまなものを統合してくるので彼らの製品を使わざるを得ない状況に追いこまれる」とマツァイティス氏。
Palmによれば、新Treoは米国で来年初頭から販売開始される予定で、当面はVerizon Wirelessの携帯ネットワーク上で機能する。Windows Mobile 5.0の採用により、ユーザーはTreoでExchangeサーバにアクセスして、Treo対応Windows向けアプリケーションを利用できるようになる、とPalm幹部は説明した。
今回の発表に続いて、調査会社の米Gartnerは、企業ユーザーに対し「Palm OSベースTreoに向けた企業アプリケーション開発への投資を今後行わないよう」推奨するリポートを発行した。Palmは今回の新デバイスで、Research In Motion(RIM)のBlackBerryや増えつつあるWindows Mobile 5.0ベースのハンドヘルド製品と今よりも効果的に競争できるだろう、とGartnerはリポートの中で述べている。
Palm OSの開発元である、Palmとは別会社のPalmSourceは、日本のソフトメーカーACCESSに買収されることが9月に発表された。
Gartnerのアナリスト、トッド・コート氏は、昨年リリースされたPalm OSの最新バージョン「Cobalt」を「大失敗」だったとしている。Cobaltは適切に稼働させるのに「膨大なメモリを必要とする」ため、主要なPalmライセンス保持者の支持を得られないでいる。
Palmの社長兼CEO、エド・コリガン氏は記者会見の席で、今後Palm OSがPalmのハードウェアに採用されるかどうかについて直接言及しなかったが、今回のWindows Mobileのサポートを、Palmの製品ラインの「延長」と表現した。「これによってほかのものがなくなるわけではない。これは成長を意味する」と同氏は語った。
Palmの広報担当は後に、一部の企業ユーザーから「Windowsを採用しない限り」Palmのハードウェアの導入は検討しないと言われたと語った。
Best Buyのソーシングマネジャー、ジェフ・ロブレス氏は、企業が投資収益率(ROI)が保障されると判断しない限り、デバイスOSにおける今回の大規模なシフトを市場が支持するかどうかは疑問だとしている。同氏はExchangeにアクセスするデバイスが増えることを歓迎しながらも、複数のデバイスOSは「移行を難しくさせる」とも語っている。
ワシントン州タコマのAuto WarehousingのCIO(最高情報責任者)、デイル・フランツ氏によれば、同社では、幹部用にPalm OSベースのTreo 650を30台使っているが、Windows Mobileベースのデバイスが提供され次第、「ただちに」移行する考えだという。
Verizon Wirelessを介して電子メールを現行のTreoにプッシュする機能では、ユーザーのPCとOutlookクライアントをオンにしておく必要があり、フランツ氏によればこれは「極めて信頼性の低い」アプローチだという。同氏のスタッフはこの問題の解決にあまりに多くの時間を費やしたため、WindowsベースのTreoに移行すれば「ただちにPCテクノロジーサポートのコストが減るだろう」と語っている。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
松屋の公式アプリとWebサイトが停止 不正アクセスを検知、モバイルオーダーや弁当予約も使えず
-
3
ベネフィット・ワンの委託先に不正アクセス セゾン会員向け優待サービスで約2.9万人分の個人情報漏えい
-
4
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
5
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
6
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
7
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
8
渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪
-
9
Apple、初のタッチ対応「MacBook Pro」発表 新型OLED搭載、国内価格は49万9800円から
-
10
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR