日立製作所とジェイアール東日本企画は12月1日から、JR東京駅地下の「動輪の広場」で、「電子ペーパーディスプレイ」の実証実験を始めた。A4サイズのモノクロ電子ペーパーを6枚搭載したモニュメントを設置。待ち合わせ中の通行客などに見てもらって感想を聞き、来春の製品化につなげる。
電子ペーパーは電源を切っても表示を維持できるため、省電力なディスプレイとして期待されている。ソニーが電子書籍端末「LIBRIe」で採用したほか、セイコーウオッチは腕時計に搭載するなど、各社による実用化も徐々に進んできた。
実証実験で展示する日立の電子ペーパーは、13.1インチで1024×784ピクセル表示。プロセッサや充電池、無線LANモジュール、8Mバイトメモリを内蔵しながら、薄さ6ミリに抑えた。配線不要でどこにでも設置できるのが売りだ。
実験では同社の広告画像や時事通信社のニュース、天気予報などを表示。コンテンツは5分ごとに書き換える。日立社内のコンテンツサーバから、近くのキヨスクに設置したサーバにAIR-EDGEでコンテンツを送信し、無線LAN(IEEE 802.11b)で電子ペーパーに配信している。
内蔵メモリに画像データを蓄積しておけば、ネット環境がなくても利用できる。内蔵電池は充電式で、5分に1回の書き換えなら半年〜1年程度持つという。
同社交通システム企画部の鈴木薫主任技師は、同社の電子ペーパーの強みとして、ネットワークの構築からコンテンツ配信、ハード提供までワンストップで対応できる点を挙げる。電子ペーパーのカラー版も開発中で、来年度中には実証実験に入れそうだと話した。
JRグループは、駅構内の店舗を充実させるなど、乗降客の“駅ナカ”利用を推進中。「駅構内の限られたスペースで、いかに情報発信していくか模索したい」とジェイアール東日本企画の中村芳明広報部長は話し、今後も新技術を積極的に試していきたいとした。
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