ITmedia NEWS >

Windows Vistaのメタデータにご用心

» 2005年12月26日 15時16分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftは次期版OS「Windows Vista」でメタデータ管理に十分対処しておらず、まずいデータを含む文書が顧客やパートナーにうっかり漏れてしまう恐れがある。Gartnerが報告書の中で警告している。

 Vistaで、Microsoftはメタデータ(文書を説明するキーワードやデータ)を使ってファイル検索を高速化している。メタデータは、別の人が文書を編集した時に、その変更を詳細に記録する役にも立つ。

 Gartnerのアナリスト、マイケル・シルバー氏とニール・マクドナルド氏は12月21日に発表した報告書の中で、Vistaの採用を計画している組織はメタデータポリシーを作成し、メタデータをより安全に管理するサードパーティーのツールを検討するようにと勧めている。

 機密を要するメタデータが付いた文書を誤って公開してしまえば、その代償は高く付くかもしれないとGartnerは指摘する。例えば、高価値顧客と低価値顧客を区別するために文書にタグを付けている企業があるとする。「低価値」タグが付いたままで文書を送信してしまったら、ビジネス関係が損なわれる可能性がある。

 Vistaにはメタデータを削除するツールがあるが、それで完全に問題が解決されるわけではないとGartnerは述べている。このツールを使う場合、当該文書のコピーが作成される。文書のメタデータが削除されても、間違ってコピーの方を送信してしまう可能性は残るという。さらに、文書の作成者がこのツールを使うことを覚えておかなくてはならない。

 「Microsoftは次第にセキュリティやプライバシーに重点を置くようになっている。このWindows Vistaの問題は、ユーザーが覚えておかなければならないツールではなく、開発中にOS内で対処するべきだった」とシルバー氏とマクドナルド氏は記している。

 Microsoftの担当者にコメントを求めたが、連絡が付かなかった。

 MicrosoftのOffice 2003は作成者が確認できるよう隠しメタデータを表示するが、メタデータを削除するプロセスはいまだに手動だと報告書にはある。Office 12にはメタデータ削除ツールがあるが、Vistaのものとは違っており、しかもユーザーが起動しなければならない。

 Gartnerは幾つか提案をしている。Microsoftはデジタル権利管理(DRM)を取り入れてメタデータを閲覧可能な人間をコントロールし、組織がメタデータとして利用できる承認済みキーワードのリストを作れるようにするべきだとしている。また、VistaやOfficeのファイルが社外に送られる際に、メタデータを削除する機能をExchangeサーバに導入するべきだともシルバー氏とマクドナルド氏は主張している。

 こうしたコントロールがない場合は、「Windows Vistaの導入前にメタデータ管理の計画とポリシーを策定しなければならない」と両氏は述べている。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.