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「薬のネット販売規制案、見直しを」――ネット薬局が要望書

» 2006年01月19日 18時19分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ケンコーコムなど、医薬品のネット通販を行う薬局・薬店14社から成る「インターネット販売のあり方を考える薬局・薬店の会」(ネット薬局の会)は1月19日、医薬品のネット販売規制を含む薬事法改正案の見直しを求める要望書を、厚生労働大臣に提出した。

 厚労省は、今年3月の通常国会に提出する予定の薬事法改正案で、副作用のリスクが高い医薬品の販売を、薬剤師による対面販売に限定する方針。この法案が通った場合は「現在ネット販売している医薬品の8〜9割が売れなくなる可能性がある」(ケンコーコムの後藤玄利社長)ため、同法案の見直しを求めている。

 改正法案のベースとなる審議会の報告書では、医薬品をリスクに応じてA、B、Cの3つのグループに分類。最もリスクの高いAグループは対面販売を必須とし、Bグループも原則として対面販売。Cグループのみネット販売など通販を「認めざるを得ない」としている。Cグループはビタミン剤や整調薬などごく一部。胃薬や風邪薬、妊娠検査薬など大衆薬の大半がBグループに入るという。

photo 報告書の概要

 ケンコーコムの後藤玄利社長によると、現状では、医薬品のネット販売はA〜Cグループすべてで可能。1988年に厚生省(当時)が出した医薬品通販に関する通知に基づき、自主規制のもとで販売してきたといい、販売がCグループに限定されると打撃は大きい。

 「審議会は、事業者のヒアリングやパブリックコメントなしに報告書を提出し、議論も不十分」と後藤社長は指摘。ネット販売のメリットも考慮されていないと話す。

 ネット販売のメリットは例えば、妊娠検査薬や痔の薬など、対面では買うのが恥ずかしい薬を手軽に購入できたり、近所の薬局にない専門的な薬をいつでも購入できる、出歩くのが困難な人でも家から購入できる――などだ。

 副作用の強い薬をネット販売するのは危険という意見もあるが、購入時にメールなどで薬剤師に相談したり、「納書」(取扱説明書)をネット公開するなどで、安全性を高められるとしている。後藤社長は「国内でネット販売が規制されると、規制のない海外からの薬品の個人輸入が増え、危険性が増す可能性もある」と話す。

 ネット薬局の会は、医薬品の安全なネット販売法を検討しながら厚労省への働きかけを続け、法案提出前に方針の見直しを求めていく。

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