マスメディアはネットの力に屈するのか、ロングテールモデルで儲けることはできるのか――ミューズ・アソシエイツ社長の梅田望夫さんとブロガーが2月7日、都内で開かれたトークイベントで議論した。
梅田さんより10歳前後若いブロガーたちが急激な変化を予想する一方、44歳の梅田さんは一貫して、「変化は起きるが、みんなが思っているほど急激ではないだろう」という立場で語った。
マスメディアと違った形の情報伝達が今、ネット上で起きている。ブロガーが記事を書き、Googleや「はてなブックマーク」(はてブ)などが並び順を“編集”する。マスメディアの役割を、ブロガーとネット技術が置き換えていっているようにも見える。ネットはテレビや新聞のようなマスメディアを食いつぶすのか、それとも共存していくのか――
ブログ「R30」の筆者は、既存のマスメディアは解体すると予測する。「ネットの方が、コンテンツも広告も、的確な顧客に届けられる」(R30さん)ためだ。ネットでユーザーのし好を高精度に把握できれば、その人が欲しがっている情報を、ちょうどいいタイミングで届けられる。
「例えば、同じ新聞なのに、読んでいる人によって中身が違う、ということが将来起こり得るのでは」(R30さん)。ネットの力によってすべての情報が個人向けにカスタマイズされていけば、従来型の、同じ情報に広告を付けて大量に流すことで成立してきたマスメディアのビジネスは立ちゆかなくなるとR30さんは語る。
「FPN-ニュースコミュニティ」を主宰する徳力基彦さんは、これまでメディアが担ってきた「コンテンツ作り」「編集」「流通」のすべてが、ネット上で、限りなくゼロに近いコストで可能になってきたと指摘する。趣味でコンテンツを作る人が増え、Googleやはてブが編集を代行し、流通はネットに移行する――そうなった場合に、既存メディアはじり貧にならざるを得ないとする。
こういった意見に対して梅田さんは「メディアの淘汰や統合、再編というのは、みんなが騒いでいるほど起きないんじゃじゃないか」と冷や水を浴びせる。マスコミは、ネットと役割分担しながら発展し、生き延びていく、という考えだ。
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