Webページのデザインに限らず、OSやソフトウェアのユーザーインタフェースなど、IT業界はこれまで、他社のものであれ良い部分は互いにどん欲に取り込むことで発展してきた面もある。
例えば昨年公開された「Yahoo!検索」を含め、多くの検索サービスのトップページはGoogleに似ている。シンプルなデザインのぺージに検索窓が置いてあるという構成は、気が付けば検索サービスの標準スタイルのようになっている。
また、mixiが2月8日に始めた「mixiニュース」は、サイト右側に「注目のニュース」を表示し、クリックするとカテゴリーごとに分類したニュースインデックスが出てくる仕組み。インデックスの体裁を含め、「Yahoo!ニュース」によく似ていると思ったユーザーは多い。
あるサイトが他のどんなサイトにもまったく似ておらず、完全にオリジナルだ、というケースは考えにくく、それはむしろ不便なサイトである可能性が高い。営業妨害目的など、明らかな悪意が認められない限り、模倣した側に対し拳を振り上げるわけにもいかない部分がある。多かれ少なかれは“お互い様”というわけだ。
とはいえ、苦労して作り上げたWebデザインをそっくりそのまま他社に使われたら気持ちがいいものではないだろう。会社は違えど同じ業界で同じような仕事に携わるデザイナーや技術者が“共通の認識”に基づいて手掛けた創造的な模倣と、稚拙な「単なるコピー」では心情的にも違ってくる。
Webサイトのデザインについて模倣された側が、模倣した側に対して何らかの法的な責任を問える可能性はあるのだろうか――弁理士の栗原潔さんによると、著作権法違反と不正競争防止法違反に問える可能性があるという。
栗原さんによると、アイコンやロゴ、文章などの「創作物」をそっくり模倣した場合は著作権侵害が認められる。しかし、創作性がなく、誰が作っても同じものにならざるを得ないものは著作物と認定されないため、著作権の侵害も認められない。
ネットサービスのデザインが著作物と認定されるかどうかはケースバイケース。単なる機能を追求した設計であり、創作性がないとされることもあるし「作者の思想や感情が表現されている」とし、創作性を認められることもあるという。
不正競争防止法については、(1)模倣された側の画面デザインが周知(有名)で、かつ消費者が混同している、(2)コピーされた側の画面デザインが著名(きわめて有名)――というケースで適用される。
例えば、livedoor knowledgeは、著作権法や不正競争防止法違反に問われる可能性はあるのだろうか。栗原さんは私見と断った上で、「Yahoo!Answersの画面デザインは創作性がある著作物に思えるため、著作権法違反に問える可能性はある」と見る。
しかし「不正競争防止法に関しては、消費者がYahoo!とライブドアを混同するのはちょっと考えにくく、Yahoo!Answersのデザインが著名であることを証明するのも困難なため難しそう」との見解だ。
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