プライバシーとスパイ活動の問題が21世紀の新たな課題に
現在、2つのグループが米連邦議会に対し、連邦政府によるスパイ活動の権限を新技術に照らして見直すよう要請している。ただし、両グループの目的は正反対だ。一方では、ブッシュ政権がスパイ活動の権限に関する制限の緩和を求め、他方では、プライバシー擁護団体が一般市民のための保護の強化を求めている。
こうした双方向からの要請が議会に寄せられている背景には、ブッシュ大統領が国家安全保障局(NSA)に対し、裁判所の令状なしに米国内で盗聴を行う権限を認めていたことが2005年12月に明らかになったという事情がある。批判者らは、こうした行為は外国諜報活動偵察法(Foreign Intelligence Surveillance Act: FISA)で禁じられていると指摘している。
ブッシュ政権は「テロリストがITを使用するようになったことで、警察の捜査は以前より難しくなっている」と主張し、政府機関に融通を利かせる内容にFISAを修正するよう議会に要請している。
一方、民主主義とテクノロジーセンター(CDT)は議会に対し、FISAやそのほか各種の監視法が修正されないうちから、既に新技術によって政府の権限が拡張されるに至った経緯を綿密に調査するよう要請している。
「確かに技術はいろいろな意味で、政府の仕事を難しくしている」とCDTの政策ディレクター、ジム・デンプシー氏は指摘している。
「すべてを考え合わせれば、デジタル革命が警察による監視を後押ししてきたことは認めるべきだろう。これほど多くの情報がこれほど簡単に入手できるような状況はかつてなかった」と同氏。
CDTは「Digital Search & Seizure: Updating Privacy Protections to Keep Pace with Technology(デジタル検索と押収:技術進歩に合わせてプライバシー保護を強化する)」と題したリポートにおいて、より容易でより侵害的な監視を可能にし、その結果として米国内のプライバシー保護の状況を変えつつある3つの傾向として、ストレージ、ロケーション情報、キーストロークロギングを挙げている。
最近はWebベースサービスの人気が高まっており、今後、ますます多くのデータがサードパーティーが管理するリモートデータベースに格納されることになるはずだ。
こうして保存されるデータ(Webメールプロバイダーが保存するメールなど)は、ユーザーのコンピュータ上に保存されるデータよりもプライバシー保護の点で脆弱だ。
「VoIPがこの方程式をさらに変えることになるだろう。これまで、電話での会話はその場限りのものとされてきたが、これからは電子メールのようになるかもしれない」とデンプシー氏。
「ストレージコストの急落に伴い、人々は電話での会話も保存するようになるだろう」と同氏。
またCDTによれば、携帯電話や各種モバイルデバイスから提供されるロケーション情報も、さらなるプライバシー保護を必要とする。
現行の技術による追跡機能を使えば、個人の行動をリモートシステムから監視し、その人物の目的地や知り合い、行動まで明らかにできる。
政府がこうしたロケーション情報へのアクセスを確保するつもりなのであれば、それなりの大義を示す必要がある、とCDTは主張している。
さらに同リポートによれば、キーストロークロギングを利用した監視にも、しっかりとした司法基準を定める必要がある。
キーストロークロギングは、ターゲットが監視の事実に気付きようがないという意味で、とりわけ侵害的だ。現行のプライバシー保護法が制定された際には、こうした技術の登場は予期されていなかった。
またCDTは業界と協力し、データ保護のためのベストプラクティスの開発を進めている。CDTにはMicrosoftも加盟している。
CDTのジェリー・バーマン代表は、最新のプライバシー法を制定するには、企業とプライバシー擁護団体の連合が必要だと指摘している。
「こうした製品をユーザーの信頼度テストに合格させるためには、プライバシー保護手段を講じているという点を企業が明言できるようでなければいけない」と同氏。
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