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» 2005年10月31日 12時14分 公開

ニューヨーク治安裁判所、司法省による携帯電話情報アクセスの権限要求を却下

司法省が求めた携帯電話情報入手の権限を、「相当な理由が必要だ」として治安裁判所が却下した。

[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK

 個人の携帯電話情報を追跡する権限を求める米司法省の要求に対し、米ニューヨークの連邦判事は「相当な理由を事前に提示しない限り認められない」としてこれを退けた。

 ニューヨーク東部地区のジェームズ・オレンスタイン治安判事は10月24日、携帯電話加入者に関する情報提供を求める司法省の申請を却下する命令書を発行した。

 司法省が求めた権限は、電話事業者は容疑者の捜査に協力するべく、住所や発信相手と着信相手の詳細など個人加入者に関する情報を、司法省の求めに応じて提供しなければならないというものだった。

 この中には、当該顧客が実際に電話を使用している最中のリアルタイムデータを請求できる権限も含まれていた。

 これが認められた場合、法執行当局は、基本的に裁判所に相当な理由を証明することなく人々の行き先や通話相手を監視する傍受装置として携帯電話を利用することが許可されることになる。

 ニューヨーク治安裁判所の判決は、今年9月にテキサス州地方裁判所が同州における同じ行為を阻止した決定と一致する。いずれの訴訟でも、司法省が申請したのは、進行中の捜査における特定個人に関する情報入手の権限だった。

 2つの裁判所の判決は、「pen register」と呼ばれる通話番号記録器やそのほかの電話利用記録装置によって収集した通信記録と、発信者の居場所を突き止めることができる携帯サイトアクセス情報の使用許可の申請に関するものだ。

 「現行法では、司法省が相当な理由を示すことなく、見込みに基づき、ここで要求されているような情報をリアルタイムに取得することは許されていない」とオレンスタイン判事は記している。

 「そうした情報を入手するためには、政府は信ずるに足りる正当な理由を示す特定の事実を示さなければならない。記録などの情報が進行中の刑事捜査と関係があり重要であるという事実を」

 この件に関して司法省にコメントを求めたが、本稿掲載時までに返答は得られなかった。

 オレンスタイン判事は判決文の中で、極端なケースにおいて十分な証拠がなくとも裁判所の承認後に携帯電話情報を入手できる場合があることを示唆したが、通常の捜査における携帯電話情報の追跡は許されないと述べている。

 同判事は、法の詳細に言及する以外に、米連邦議会がこの問題に直接的に対処したわけではないが現行法で十分明確な指針が示されていると指摘している。

 同判事は判決文の中で次のように記している。「政府が携帯電話をそのユーザーの行動を同期的に追跡する手段として使用することを求めた場合、効率的な法の執行と個人のプライバシー保護との間の微妙なバランスを取る形で議会が編み出した妥協措置では、相当な理由の提示を求めている」

 少なくとも1つのプライバシー権利団体が、今回の判決を個人のプライバシー権利の勝利としている。米カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置く電子フロンティア財団(EFF)はこの判決を司法省の「鼻をへし折るもの」と表現した。

 オレンスタイン判事は判決文の中で、司法省による携帯電話情報提供の要求に反対したEFFが提出した訴訟事件摘要書に言及している。

 EFFの弁護士、ケビン・バンクストン氏によれば、司法省は相当な理由を証明することなく携帯電話加入者のデータを入手する権限を日常的に裁判所から得ており、これらの裁判所はオレンスタイン判事が却下命令の中で言及した同じ複数の法律を誤って解釈しているという。

 「この判決は個人のプライバシー権利にとっての大勝利である。わたしたちが使用する携帯電話には個人に関する膨大量の情報が含まれおり、わたしたちの行き場所、関わる人々、そして考え方でさえ、さまざまな形で明らかになる。政府はこうした情報を追跡する権限を得る前に、相当な理由を示す必要がある」(バンクストン氏)

 「より大きな問題は、秘密裏に捜査する権限を与えるシステムが確立されていることだ。判事らは司法省から十分な説明を受けないまま書類を受け取り、署名してしまう。同じことが電話会社にも言える。判事の署名入りの書類を受け取ると、質問することなく協力する傾向にある」(同氏)

 バンクストン氏は、ニューヨークとテキサスの裁判所が下した判決によって、今後ほかの判事らも法執行にさらに消極的になり、将来的な法執行の要求を退けるようになるだろうとしている。

 同氏によると、司法省はニューヨーク治安裁判所に提出した摘要書の中で、「hot watch」(要監視)と呼ばれる、それまで知られていなかった捜査形式について説明している。そこでは、同省は相当な理由を示すことなく個人のクレジットカード情報を傍受する権限を持つという。

 「多くの判事はこれまでどれほど誤り導かれていたかに気付き、今回のような判決をどんどん下すようになるだろう。そしてわたしたちは、政府が必要な手順をすり抜けてきたさらに多くの捜査権限について知ることになるだろう」とバンクストン氏は語っている。

 「わたしたちになじみのない情報機関はさらに秘密で溢れ、権限の濫用が横行している。彼らがほかにどんなことをやりおおせているかを見つけ出さなければならない」(同氏)

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