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IDFで披露、サーバを越えて広がる新たな「仮想化」(1/2 ページ)

» 2006年03月09日 18時22分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 x86のプラットフォームでサーバ仮想化技術のメインストリーム化が進む中、ITベンダー各社はこの技術の原理をほかの分野にも応用しようとしている。

 カリフォルニア州サンタクララに本社を置くIntelは、サンフランシスコで開催されたIntel Developer Forum(IDF)において、「Intel Virtualization Technology」をシステムレベルからインターコネクトの分野に拡張する計画を発表した。

 今回のIntelの動きに先立ち、ライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)も同様の計画を明らかにしている。去る2月に調査会社IDCが主催した仮想化カンファレンスにおいては、AMDが開発中のI/O仮想化技術の仕様公開を発表した。

 Intel Developer Forumでは、Altiris、Microsoft、VMwareなどの企業もそれぞれの仮想化製品の計画を明らかにした。発表されたのは、仮想化アプリケーションや、仮想化環境の管理を強化する製品などだ。

 サーバ仮想化というのは、仮想マシン(複数のマシンを束ねて単一のコンピューティング環境にしたもの)を利用することによって、複数のOS/アプリケーションを単一の物理システム上で稼働できるようにするというアイデアである。これによって実現される柔軟性の高い環境では、システムの利用率が改善されるため、ワークロードが増えたときでも物理システムを追加する必要性が少なくなる。

 サーバ仮想化は、物理サーバの数を増やさなくてもワークロードの増加に対応できるため、最近懸念が高まっている消費電力や熱発生といった問題にも対処できる。

 仮想化の人気は高まりつつある。IDCでは、2009年までに仮想化技術の市場が150億ドルに達すると予想している。またVMwareによると、同社の顧客の90%が仮想化技術をテスト/開発環境から本業務環境に移行させたという。

 仮想化技術への関心の盛り上がりは、IDFでも見て取れた。仮想化に関するパネルディスカッションでは、200人以上の聴衆が会場を埋め尽くした。

 現在、IntelやAMDなどの企業が、サーバ以外のインフラにも仮想化技術を追加しようと考えている。

 Intelはすでに、仮想化技術を一部のプロセッサにチップレベルで組み込み始めており、今年中に自社の製品ラインの多くに同技術を組み込む方針だ。その1つが、「Montecito」というコードネームで開発中の次世代Itanium 2プロセッサである。

 Intelのデジタルエンタープライズ部門のパット・ゲルシンガー上級副社長兼ゼネラルマネジャーは3月7日、IDFのキーノートスピーチで、同社は来年、この技術の適用範囲をインターコネクトの分野にまで拡張する方針だと述べた。

 ゲルシンガー氏は、I/Oデバイスをパーティションに分割して仮想マシンに割り当てることを可能にする「Virtual Technology for Directed I/O」(VT-d)技術を紹介した。同氏は、この技術の仕様が現在公開されていることを明らかにした。VMwareとMicrosoftは、両社はVT-d技術をそれぞれの仮想化製品の将来版でサポートする予定だと述べた。

 カリフォルニア州サニーベールを本拠とするAMDは今年半ばに、「AMD Virtualization Technology」と呼ばれる仮想化技術を自社のプロセッサラインアップに導入する計画だ。AMDは2月に、自社のI/O仮想化技術を自社のプロセッサで年内にサポートする予定であることを明らかにした。

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