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インクジェットは「量から質へ」 業績不振のエプソン新中期計画

» 2006年03月16日 20時23分 公開
[ITmedia]

 業績が悪化しているセイコーエプソンは3月16日、2009年3月期まで3カ年の新中期計画を発表した。インクジェットプリンタ事業や液晶ディスプレイ事業などの収益力強化を柱とし、固定費削減などで効率化を徹底。同期に売上高1兆6700億円、経常利益1000億円以上を目指す。

 同社はディスプレイやインクジェットプリンタの価格下落などが響き、今期は構造改革費用を計上するなどして230億円の連結最終赤字に転落する見通し。

 新中期計画では「ビジネス環境変化への対応力が不十分であり、コスト作りこみ力や短期投資回収力が不足していた」との反省のもと、主力事業の収益力強化や全社的な効率化を打ち出した。

 インクジェットでは、成長が見込めるフォトプリンタと複合機の拡販を進め、単機能機はBRICs市場を中心に力を入れる。中期計画の初年度となる2007年3月期は「体力づくりの年」と位置付け、採算が厳しいプリンタ本体は、プリントボリュームが低い商品については計画的に出荷数量を絞り込み、「量から質」への転換を図っていく。部品・プラットフォームの共通化などで本体の採算改善を図るほか、インクカートリッジの純正利用率を高めていく。

 中小型液晶ディスプレイ事業は、携帯機器の市場拡大が予測されることから、「ナンバーワン企業を目指し、価格対応も含めて徹底的かつ積極的に攻め、勝ち残る戦略」を進める。設計から調達までのコスト削減と、省電力化など技術のブラッシュアップなどで競争力を高める。一方、固定費負担が重い半導体事業は、低消費電力などの得意技術を活かせるジャンルに絞り込む。

 構造改革費用は今期で463億円、来期で30億円を計上。来期の厳しい環境を見込むTFD液晶で固定資産の減損を実施するほか、欧州の人員削減などを含む。この結果、今後3年間で合計640億円の固定費改善効果を見込んでいる。

 ガバナンス改革も行い、業務執行役員制度の導入や取締役の定員数を25人以内から10人以内への削減、取締役任期を現行の2年から1年に短縮して業績評価を強化するなどし、経営と執行の責任の明確化を図っていく。

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