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ネット動画広告市場、前年の6倍に

» 2006年03月27日 15時10分 公開
[ITmedia]

 大手ネット企業や広告代理店で構成するインターネット広告推進協議会(JIAA、会長:森隆一・電通常務)は3月27日、今年の国内ネット動画広告市場は前年の約6倍となる30億円に拡大するとの予測を発表した。会員が急増しているUSENの「GyaO」などの無料動画配信サービスが普及しつつあり、動画広告の本格展開の兆しが見えてきたとしている。

 JIAAの会員142社(2月時点)の売り上げなどから推定した。2004年の市場規模は約1億円程度だったが、2005年には約5倍の5億円に成長した。

 ただ、電通がまとめた同年のネット広告費は2808億円。動画広告市場はその0.2%弱に過ぎないが、今後はテレビ局などが動画配信に本格参入すると見られ、市場拡大が加速すると予想している。

 会員社のうち、今年3月時点で動画広告メニューを持つのは26社(うち広告代理店が6社)。GyaOを始めとする無料動画配信が相次いでスタートし、動画コンテンツに挟み込む形での広告出稿が進んだほか、ポータルサイトなどの従来の広告スペースに動画を埋め込む形の広告も普及してきている。

「インターネットCM」を定義

 動画広告は普及が進む一方、「ネットCM」「ストリーミング広告」「リッチバナー」といったさまざまな名称で呼ばれている。現状では混乱を招くおそれがあるため、JIAAは動画広告を「インターネットCM」の名称で統一することにした。

 その上で「インターネットCM」を定義。(1)インターネット、携帯電話など通信回線上のサービスの広告スペースに掲載されるもの、(2)映像と音楽を使用し、時間軸で展開される広告、(3)映像・配信技術による区別は特にしないが、ストリーミング式とダウンロード式では権利者の許諾条件が異なるため区別して明記する、(4)地域限定配信の有無なども許諾条件上、明記が必要──の4点を定めた。

 JIAAの森会長は「インターネット広告の市場はまだ小さいが、可能性は非常に大きい市場」と期待する一方、「予想を超えるスピードで拡大しているため、未整備な面もある」と指摘。例えば「IP放送サービス」は「放送」と「通信」のどちらに含まれるのかなど、使用範囲などで出演者や楽曲提供者らが誤解するケースも出てきているという。

 JIAAにはヤフーやマイクロソフト(MSN)、USENなど大手サイトの運営企業が参加しているが、会員外にも同定義を共通認識として普及させ、市場拡大を後押ししたい考えだ。

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