ソフトバンクとヤフーは12月19日、インターネットによる動画配信サービスを本格化すると発表した。共同出資会社・TVバンクを通じて「Yahoo!動画」サービスを強化し、無料の1万6000本を含むスポーツや芸能などの動画配信を展開。NHKが番組提供するほか、在京民放キー局も参加する方向で調整を進めている。
会見した孫正義社長は「今年1年間、放送と通信の融合について触れられてきた。ソフトバンクとヤフーの力を合わせ、これを具体的に示したい」と語った。
ヤフーが2年前にオープンした動画配信サイト「Yahoo!動画」を、動画ポータルサイトへと強化する。従来はYahoo!BBかYahoo!プレミアム会員向けコンテンツが主体に合計約4000本を公開していたが、新サービスでは非会員でも視聴できる無料コンテンツ1万6000本に加え、会員向け有料コンテンツも1万5000本に拡大した。これにネット上で視聴できる動画コンテンツの検索インデックス7万本を加え、合計「10万本」(孫社長)でスタートする。
コンテンツ供給は、バンダイチャンネルや東映、WOWOWなど既存のパートナー約50社と、「K-1」を運営するFEGや人気タレントを多く抱えるオスカープロモーション、KBSなど韓国テレビ局各社、英BBC、米AP通信など23社が新たに配信を行う。米メジャーリーグの国内独占配信権を取得したほか、福岡ソフトバンクホークスを含むプロ野球パ・リーグの主要球団の試合を来季からライブ放送することでも調整しているという。
テレビ局との協力も進める。既にドラマなどでコンテンツパートナーとなっているテレビ朝日のほか、NHKがドキュメンタリー番組の配信を開始した。日本テレビ放送網、東京放送(TBS)、フジテレビジョン、テレビ東京とも具体的なコンテンツ選びや提供形態、開始時期について協議を進める(関連記事参照)。
孫社長は会見で「最近支持を得はじめている他社」とのコンテンツ数を比較してみせ、会員登録が500万を超えたUSENの「GyaO」への対抗意識ものぞかせた。孫社長は「少なくとも日本ではナンバーワンの圧倒的なサービスを目指す」と話し、Yahoo!JAPANの集客力などを活用することで、ヤフーの月間ユニークユーザーと同じ4000万人の視聴者数を早期に達成するとした。
同日営業を始めたTVバンクは、資本金15億500万円をソフトバンクが60%、ヤフーが40%を出資。孫社長が代表取締役社長を兼任し、ヤフーの井上雅博社長が取締役に就任。ソフトバンクとヤフーが持つ動画関連のノウハウと人材を集約し、Yahoo!動画向けに配信するコンテンツの調達と配信・検索システムの開発運用、サービス画面の制作などを担当する。
無料コンテンツの収益源は、動画の冒頭などに挿入する広告だ。コンテンツの視聴数に応じ、コンテンツパートナーと広告収入をシェアする仕組みだ。
広告は電通、博報堂DYメディアパートナーズ、アサツーディ・ケイ、サイバー・コミュニケーションズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムら大手が協力し、視聴者属性に応じたCM配信や効果の測定を行う。当初は資生堂やファーストリテイリングなど60社以上の国内企業が広告出稿した。
ブロードバンドの普及でネットとの接触時間が増え、高いインプレッション効果が見込める動画広告も急成長すると見られる。「コンテンツはあってもあっても足りない」(孫社長)──ソフトバンク&ヤフーは、魅力的なコンテンツを豊富に集めることで視聴者を増やし、視聴者が増えることで広告出稿も拡大する──という正のスパイラルを創出し、動画配信・広告で先行したい考えだ。
孫社長は「ブロードバンドのコストが世界一安い日本は動画配信のモデルケースにふさわしい国。これからは日本が新たなビジネスモデルをつくり、米欧に普及させていく役割を担うべき」と述べ、“逆タイムマシン経営”のすすめも説いていた。
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