スペインのベンチャー企業・FONは、近く日本法人を設立し、個人の無線LANアクセスポイントを共有するプロジェクト「FON」の国内展開を始める。デジタルガレージと協力して事業展開し、収益モデルを構築する。
FONは、個人宅などの無線LANアクセスポイントを開放・共有し、世界中に無線LANインフラを張り巡らそうというプロジェクト。PCと対応ルータに専用ソフトをインストールし、ユーザー登録すれば参加できる。
参加のタイプは3種類で、(1)自宅のAPを無料開放する代わりに他人のAPも無料で利用できる「Linus」、(2)自宅のAPを有料開放し、他人のAPも有料で利用する「Bills」、(3)APは開放せず、他ユーザーのAPを有料で利用する「Aliens」がある。LinusはLinux創始者のリーナス・トーバルズから、Billsは米Microsoftのビル・ゲイツ会長から取った。
現在は、完全無料のLinusのみ参加可能。6〜7月ごろまでに課金システムを整備し、BillsやAliensも参加できるようにする。
有料APの利用料金は1日あたり200円程度と「商用無線LANサービスの1日利用料より安いが、毎日使うと月額利用料より高い」(デジタルガレージ顧問の伊藤穰一氏)ラインに設定する予定。リーズナブルに無線LANが利用できるとしている。
セキュリティに配慮して設計したが、ネット環境はユーザーによってまちまち。品質保証はできず、「ミッションクリティカルな業務には向かない」(Fonのマーティン・バーサフスキ社長)。顧客ターゲットはビジネストラベラーよりも無線LAN対応機を利用するゲームユーザーといい、ニンテンドーDSやPSPなどのユーザーを想定している。
現在、国内のLinusは46人。今後、日本語サイトを開設したり、国内企業と提携するなどしてユーザーを20万人に増やす計画だ。無線LANインフラを持たないISPと提携し、ユーザーをFonに勧誘してもらったり、ルータメーカーと提携し、設定不要でFonを利用できるルータを発売する――といった展開を計画している。
同プロジェクトは、昨年11月にスペインでスタートし、2010年までに先進国すべてを無線LANでカバーすることを目標としている。口コミやブログを通じて広がり、現在、144カ国、2万9000人がLinusとしてユーザー登録しているという。
FONにはSkypeやGoogleも出資。無線LANの普及によるビジネスチャンス拡大に期待を寄せている。一方で、セキュリティの問題や、インフラただ乗りの問題も指摘されている。
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