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「低価格」「コピー・転送可能」が音楽配信拡大のカギに

» 2006年05月01日 07時49分 公開
[ITmedia]

 日本レコード協会(RIAJ)などはこのほど、音楽メディアについて一般ユーザーの意識を調べた結果から、ネット有料音楽配信ユーザー数は現在の3倍程度にまで広がる可能性がある、とした報告をまとめた。「ぜひ利用してみたい」と積極的な意向を持つユーザーを利用に踏み切らせるトリガー(引き金)として、「低価格」や「コピー・転送可能」などを挙げている。

 調査は、RIAJと日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センターがまとめた「2005年度音楽メディアユーザー実態調査」。昨年10月、東京30キロ圏内に住む12〜69歳の男女1200人を対象にした質問紙によるアンケートと、1月にWeb調査会社経由で16〜69歳の男女・有効回答3939人にWebアンケートを実施した結果をまとめた。

photo 音楽配信の利用経験率(資料より)

 10月調査の結果によると、有料音楽配信サービスの認知率は62.7%となり、前年度から6ポイント近く増加。利用経験率は6.0%と前年度から0.3ポイント増とほぼ横ばいだったが、過去半年間の利用率は前年度の1.9%から1.6倍の3.1%に増えた。1月Web調査によると、音楽配信利用者(704人)の約3割が昨年10月以降に利用を始めていた。利用率は男性の方が高く、また若年層で高かった。

 音楽配信を利用するのは「必要な曲だけ入手できるから」としたユーザーが多かったが、不満点は「ジャケット、歌詞カードがない」が最多。50代男性は「音質が悪い」と回答する割合が多かった。音楽配信を利用しない理由は「購入したCDで聴くほうが良いから」が4割となり、「レンタルCDで聴く」「支払いの仕方が不安」が2割強で続いた。

 10月調査で、音楽配信を「ぜひ利用したい」「興味はある」と答えたのは全体の14.0%。利用経験者は6.0%だったことから、「現在の約3倍程度にまでパイは広がる」と予測した。ただ、「ぜひ利用したい」と答えたユーザーは、現在は利用していない理由として「値段が高い」「コピー・転送が自由に出来ない」を挙げており、これらの解決が利用へのトリガーになりうるとしている。

photo 有料音楽配信市場構造(資料より)

 10月調査によると、デジタル携帯音楽プレーヤーを保有しているのは12.3%となり、前年度の5.6%から急増。今後の保有意向も26.0%と最も高かった。逆に携帯MDプレーヤーや携帯CDプレーヤー、DVDオーディオ対応プレーヤーは保有意向が減った。1月Web調査からは、デジタル携帯プレーヤーは昨秋以降、若年層を中心に利用者が拡大しているが、60代の保有意向も高かった。

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