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» 2006年05月02日 15時51分 公開

“フリー”な仮想化ソフトの真のコスト

Microsoftが無償で提供する仮想化ソフト「Virtual Server」は、実際はWindowsのライセンス料が必要な「IE的フリー」だ。

[Jason Brooks,eWEEK]
eWEEK

 便利だという理由で、仮想化が人気を集めている。それだけでは不十分だというかのように、今ではよく仮想化に「フリー」という言葉が付いてくる。だが理解を深めるにつれて、フリーは多くの意味を持つようになる。

 オープンソースソフト用語に倣うと(それに独自の用語を1つ足すと)、フリー仮想化技術は以下の3つに分類される。1つ目は「“ビール無料”のフリー」、ソフトは無料だがコードは非公開ということだ。2つ目は「“言論の自由”のフリー」、ソフトは無料あるいは有料だが、自由に改変・再配布できる。3つ目は「Internet Explorer(IE)的フリー」、ソフトは無料だが、別のソフト(IEの場合はWindows)の有効なライセンスがなければならない。

 「IE的フリー」の路線を、Microsoftが自社の仮想化技術において選んだことは何ら意外なことではない。同社は4月3日、ボストンで開催のLinuxWorldで、100〜200ドルだった「Virtual Server 2005 Release 2」を無償化すると発表した(4月4日の記事参照)

 これは予想外の動きではなかった。VMwareが自社の「VMware Server」を無償で提供すると発表していたからだ。だがVMwareの製品とは違って、MicrosoftのVirtual ServerはWindowsでのみ動作するためライセンス料がかかる。

 Microsoftは今後、Longhorn Serverのずっと後に登場するWindows(一部報道によると、遅くて2009年になるかもしれない)に「Viridian」のコードネームで呼ばれるHypervisor技術を組み込む際にも、このような「買えば付いてくる」路線を続けるだろう。

 同社は独力でこの技術を開発するつもりのようだが、同社がXen Hypervisorプロジェクトの仮想インフラに加われば、同社自身と顧客にメリットがもたらされるだろう。Xenはコンピューティング製品としてまだ完成してはいないものの、少なくとも今のところ利用できる形で提供されている。

 またViridianを捨ててXenをWindows Hypervisorの中核に採用すれば、開発が迅速化され、高性能仮想化機能がLonghorn Serverに間に合うかもしれない。

 Xen Hypervisorは、Linuxおよび一部のBSDシステムで仮想化OSインスタンスをホスティングできるようにするもので、GNU GPLライセンスの下で提供され、自由に入手、配布、改変できる。

 XenとフリーOS(OpenSUSE、Fedora、Debianなど)はライセンス料なしの仮想化ソリューションだが、Xenは、特に対応する管理ツールの点でまだ成熟していないため、もっと実装コストがかかることになる。

 今後オープンソースソフト企業がXenを補完するツールを開発すれば、Xenはもっと有力になるだろう。Red HatとNovellは既に、Xenを自社のディストリビューションに組み込んでおり、両社ともXenをOS仮想化製品の中核に据える意向を表明している。

 VMwareは昨年、同社のWorkstation、GSX、ESX Server製品で作成した仮想マシンを走らせる無料アプリケーション「VMware Player」をリリースし、注目を集めた。その後間もなく、VMwareは1400ドルのGSX Serverの後継であるVMware Serverを無償で提供すると発表して掛け金を引き上げた。

 これらの動きは仮想化製品とサービスの市場を拡大するだけでなく、VMwareのVMフォーマットが業界標準になるのを後押しするかもしれない(Adobe Acrobat ReaderがPDFを業界標準にしたように)。

 2005年末に、SWsoftはOSレベルの仮想化製品「Virtuozzo」をGPLライセンスの下で公開し、「OpenVZ」プロジェクトを立ち上げた。OpenVZは、複数のインスタンスを単一のホストカーネルの下で実行できる点で、Sun Microsystemsの(無償の)Solaris 10のコンテナ機能と似ている。OpenVZはプロプライエタリ版のような幅広い管理ツールはないが、同プロジェクトが成熟するにつれてそれは改善されるだろう。

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