Microsoftが「Viridian」のコードネームで現在開発中の「Windows Hypervisor」技術の完成は、来年のWindows Server「Longhorn」の出荷時には間に合わないが、同社では、「比較的早い時期に」リリースできると強気の見通しを抱いている。
しかし同社は、その「早い時期」が具体的にいつになるかを発表できる段階ではない。その背景には、「Windows Vista」および「Office 2007」のリリース延期を最近発表した事情も絡んでいるようだ。
Viridianは、OSの下で動作して複数の仮想マシンのリソースを管理する技術である。
「ViridianはLonghorn Serverの出荷後にリリースされるが、Longhorn自体は仮想化に対応する」――ボストンで開催されたLinuxWorld Conferenceにおいて、Microsoftで仮想化技術を担当するプロダクトユニットマネジャー、マイク・ニール氏は、eWEEKの取材に対してこのように語った。
Red Hat LinuxおよびNovellのSUSE Linuxではいずれも、年内に出荷予定のサーバ製品に「Xen hypervisor」技術が組み込まれる予定であり、これに対抗するためにViridianの出荷を急がなければというプレッシャーを感じているかとの質問に対し、ニール氏は、「Linuxベンダー各社がViridianによく似たhypervisor技術を採用しているのをMicrosoftは歓迎している」と答えた。
さらに同氏は、英国にあるMicrosoft ResearchがXen hypervisor技術の開発に貢献したことを指摘。この取り組みは当初、ケンブリッジ大学コンピュータ研究所のプロジェクトだったという。
「XenとViridian hypervisorのアーキテクチャの間には実際、相違点よりも類似点の方が多く、この技術をLinuxディストリビューションに組み込むことは、同技術の市場とエコシステムの拡大につながり、これはわれわれ全員にとって望ましいことである」(同氏)
しかしニール氏は、VMwareが「VMware Server」製品を無償で提供していることや、Red HatおよびNovellのSUSEのサーバ製品にXen仮想化技術が組み込まれることが、Microsoftに対して仮想化ソフトウェアを無償提供するよう促したことを認めている。
「Microsoftは顧客の声に耳を傾け、それに応える。顧客らはこの技術が無償で提供されるのを望んでいる」と同氏は話す。
Advanced Micro Devices(AMD)で商用ソリューションを担当するディレクター、マーガレット・ルイス氏はeWEEKの取材に対し、「こういった仮想化環境の管理はいずれ、大きな話題になるだろう」と述べている。
「多くのユーザーの場合、最初の仮想化の取り組みには仮想マシンの作成が含まれる。しかし彼らがその方法をマスターすれば、次は当然、これらをどのように管理するのかを学ぶ必要に迫られるはずだ。このため、hypervisor技術に関する話題から、この環境をいかに管理し、そのためにはどんなツールが必要なのかといった話題へのシフトが起きるだろう」とルイス氏は話す。
さらに同氏は、微妙な問題についても指摘した――仮想マシンは必ずしも無償ではないという事実である。「AMDは昨年、マルチコア環境を提供し、その価格設定に悩んだが、ソフトウェアコミュニティーも同じジレンマを経験することになるだろう」(同氏)
Microsoftのニール氏も、現在の計画では、来年出荷されるWindows Server LonghornのDatacenter Editionのライセンスについては、1台の物理サーバ上で実行できる仮想インスタンスの数を無制限にするが、Windows Server LonghornのEnterprise Editionのライセンスでは、4つの仮想インスタンスまで認められるという点を強調している。「しかしこれが変更される可能性もある」と同氏。
現在、Windows Server 2003 R2 Enterprise Editionを利用しているユーザーは、追加費用なしで1台の物理サーバ上で最大4つの仮想インスタンスを実行することができる。それ以上のインスタンスをWindows Server上で実行したい場合は、Windows Server 2003 R2 Enterprise Editionのライセンスを追加購入することで、さらに4つの仮想インスタンスを実行できるようになる。
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