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“動く”静止画「画ニメ」 天野喜孝氏などが参加

» 2006年05月30日 19時58分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 東映アニメーションと幻冬舎は5月30日、静止画を主体とした映像作品をDVD化して販売する「画ニメ」事業を始めると発表した。第1弾は、天野喜孝さんのオリジナルイラストを使った作品や、佐野史郎さん監督作品など8作品。8月1日に発売する。両社は「映像作品の新ジャンルとして『画ニメ』の認知を高め、世界に進出したい」と意気込む。

画像 左から天野喜孝さん、幻冬舎の見城徹社長、東映アニメの高橋浩社長、佐野史郎さん、アーティストの奥秀太郎さん

 画ニメは、一般のアニメよりも少ない作画枚数で作る映像作品。アーティストが自ら描いたイラストや絵画、撮影した写真などの静止画像に、音声や音楽を重ね合わせる。画像は紙芝居のように切り替えるほか、髪の毛など一部だけを動画にしたり、1枚の絵の上でカメラを動かしたり、ズームイン・ズームアウトするなどして変化をつける。作品によっては、実写動画やCGアニメも取り入れている。

 「作画枚数を限定し、構図や編集のテクニックを駆使して映像レベルを高める、日本のアニメの手法『リミテッド・アニメーション』の手法をさらに推し進めた」(両社)。大勢のスタッフが関わる従来のアニメや映画と異なり、アーティストの世界観を余すことなく伝えられるとしている。

 第1弾は、天野喜孝さんの書き下ろし絵画を200枚以上を使った「Fantascope 〜tylostoma〜」や、写真家・植田正治の写真と小泉八雲のメッセージを組み合わせ、佐野史郎さんが監督した作品「つゆのひとしずく」など8作品。9月にさらに2作品を、12月には、美樹本晴彦さんが作画を担当する作品など4作品を追加する。1作品あたり30分前後で、価格は3129円(税込み)。

画像 Fantascope 〜tylostoma〜の1シーン

 天野さんは「『画ニメ』という新ジャンルはアニメでも映像でもなく、クリエイターにとって面白い」などとコメント。佐野さんは「今回作品を作ってみることが、自分の中で転機になった」などと語った。

 幻冬舎の見城徹社長は「静止画に音楽を付ける、という発想は、趣味の世界ではあったかもしれないが、それを商品化したのはたいへんな発明」とし、同社グループと付き合いのあるクリエイターやミュージシャンなどと一緒に作品を作っていきたいとした。

 書店やネット通販でまず販売し、順次CD店などに販路を広げていく計画。今後は、アーティストの発掘にも力を入れるほか、新たなアートの表現手法としてヨーロッパを中心に、海外でも展開するとしている。

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