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“かしこいWeb”――Web2.0の先にあるもの(1/2 ページ)

» 2006年07月13日 13時31分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 Web2.0というキーワードが注目を浴びている。「意味のない言葉」「いや、Webの未来を示している」「新しいビジネスモデルの萌芽だ」など、議論はさまざまだ。

画像 講演には、ネットに興味を持つ100人近くが集まった

 「2006年現在にうまくいっているサービスをまとめたもの」――国立情報学研究所で7月12日に行われた「次世代ウェブ」と題した講演で、同研究所助手の大向一輝さんはWeb2.0をこう定義し、「うまくいったサービスの背景には、技術の進化と人の進化がある」と指摘。進化の先には「かしこいWeb」、真に役立つ情報を取り出せる、セマンティックWebの世界が広がっていると展望する。

“人の進化”とWeb2.0

画像 「今2.0と呼ばれているサービスも、失敗すれば『あれは2.0じゃなかった』と言われるのだろう」と大向さん

 インターネットは今や、一般の人の生活にも欠かせないインフラになりつつある。情報通信白書によると、2005年末時点の日本のネット人口は8500万人以上。「知り合い全員がネットを使っている」というのが普通の状態になってきた。

 「情報を出すことによって、新しい・楽しいことができるということを、人々が受け入れ始めた」。大向さんは、ネットに対する人の態度が“進化”していると指摘。ネット上でのコミュニケーションと共有が進んでいると語る。

 人々が技術を受け入れ、発信・共有する態度を身につけたことにより、ネット上で自己表現するブログや、ネットで人脈を管理し、コミュニケーションするSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が普及。コンテンツの共有も進み、写真を共有できる「Flickr」などWeb2.0的と呼ばれるサービスが次々に生まれている。

“コミュニケーションと共有”を支える技術

 ネットの世界では、3つのレイヤーで“コミュニケーションと共有”が行われているという。(1)コンピュータとコンピュータ、(2)人とコンピュータ、(3)人と人――間だ。

 コンピュータ同士のコミュニケーションを支えるのがHTTPやXML、APIといったルール。これらが高度に整備された結果、RSSリーダーやブログツールなど新しいアプリケーション――人とコンピュータのコミュニケーション手段――が生まれた。こういったアプリケーションが、人と人とのコミュニケーションを支えていく。

 APIを活用したコンピュータ同士のコミュニケーションの例の1つが、本田技研工業(ホンダ)の交通情報配信システム「インターナビ・フローティングシステム」だ。Google EarthのAPIと、ホンダ車ユーザーから集めた渋滞情報を組み合わせたサービスで、「Googleとホンダはお互いルールを守ってデータをやりとりしているだけ。何も契約していない」のがミソ。間に人は介在しない。

 このほかにも、“Web2.0企業”と呼ばれる企業群により、APIを活用した新サービスが次々に生み出され、Webの進化のスピードを速めている。この進化の先には何があるだろうか。

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