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YouTube極楽とんぼ騒動で思い出した、5年前のあの事件News Weekly Access Top10(2006年7月16日-7月22日)

» 2006年07月24日 21時35分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 先週は1位、2位、4位、10位にYouTube関連の記事が入った。1位はお笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次さんが、相方の山本圭一さんの不祥事に関してテレビ番組で謝罪したシーンの動画が、YouTube上で記録的なアクセスをたたき出した、という記事。2位はその映像が公開3日後に、テレビ局の要請で削除された、という記事だ。

 YouTube上に、権利者に無断でテレビコンテンツを掲載する行為は、著作権法に違反している。ただ、1度きりしか放送されないテレビ映像を、放送後に百万人単位で共有し、話題にしたという今回の現象は、即時性やダイナミックさがいかにもネット的。田代まさし逮捕の話題でネットが盛り上がった2000〜2001年をほうふつとさせる。

 当時と今が決定的に異なるのは、ネットユーザーの母数と、コンテンツ発信の手軽さだろう。当時はYouTubeはもちろんブログもなく、情報発信・共有の場といえば2ちゃんねるか個人の「ホームページ」くらい。田代まさし事件は2ちゃんねるで大いに盛り上がり、ネットユーザーは、田代まさしが「Time」の表紙を飾るコラージュ画像を作ったり、事件を「プロジェクトX」風に編集した動画を公開するなどして「祭り」を楽しんだ。

 5年経った今、国内ネットユーザーは倍以上に増え、発信の手段も多様化。あるネタに関する話題をネット上で語り合う場、語る人の数は段違いに増加した。インフラはブロードバンド化し、高精細な静止画や動画も手軽に共有できるようになった。

 ネット上には今、ニューステキストからブログ、動画までコンテンツがあふれている。その分、5年前にあった「わずかなコンテンツをフルに使い、工夫を加えて何とか面白い物を作ろう」という、ハングリーなクリエイティビティは失われつつあるのかもしれない――加藤さんの謝罪動画が、削除されたそばから次々にアップされていく様子を見ながら、そんなことをちょっと思った。

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