松下電器産業が7月26日発表した2006年4〜6月期(第1四半期)の連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前年同期比で1.4倍になるなど順調に増収増益となり、中間期の業績予想を上方修正した。薄型テレビが前期に続いて全世界で好調で、サッカー・ワールドカップも追い風になった。
売上高は前年同期比4%増の2兆1369億円となり、第1四半期としては過去最高。うち海外売上高が1兆750億円と国内を約130億円上回った。純利益は同7%増の358億円。第1四半期としては15年ぶりの水準になった。
金額 | 前年同期比 | |
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売上高 | 2兆1369億円(うち海外1兆750億円) | +4% |
営業利益 | 651億円 | +41% |
税引き前利益 | 754億円 | +14% |
純利益 | 358億円 | +7% |
PDPと液晶を合計した薄型テレビ販売額は1826億円となり、前年同期比で1.6倍に。「アテネ五輪の時、業界では後で反動が来たが、今回は当社はそれはない」(川上徹也副社長)。「LUMIX」ブランドのデジタルカメラも販売金額で前年同期から倍増の438億円に成長した。
携帯電話子会社のパナソニックモバイルコミュニケーションズは、海外事業の縮小などから売上高が同20%減の1050億円にとどまったが、FOMA端末やワンセグ端末が好調で、営業利益は10億円と黒字転換した。NECとの統合については「検討中だが、正式に決まったら公表する」(川上副社長)とした。
中間期連結業績見通しの上方修正は、売上高が前回予想比900億円増の4兆3400億円、税引き前利益が同300億円増の1900億円、純利益が200億円増の900億円。予想純利益は前年同期の実績比で約4割増となる。
「大型はPDPで勝つ」──決算発表の席上、川上副社長は改めてPDPの優位性を強調。垂直統合による製品差別化やコスト競争力を強みに挙げ、世界大手の主戦場となる大型市場での勝ち残りに自信を見せた。
性能面では、輝度や店頭での映り込みなどで液晶テレビに見劣りする部分もあることを認めるが、「いずれキャッチアップできる。視野角や動画解像度などではPDPが絶対に優れており、大型になればなるほど効いてくる」という。
川上副社長によると、製品コストのうちパネルが占める割合はプラズマテレビで4分の1だが、液晶テレビは半分を占める。生産にかかるリードタイムも、液晶の2週間に対しPDPは5日と短く、効率面でも有利だという。
1800億円を投じて来年7月の稼働開始を目指す尼崎第2工場(兵庫県尼崎市)の生産能力は年間600万枚。「1枚あたりの投資額は3万円。S社の亀山工場は1500億円で300万枚だから、1枚あたり5万円だ」と指摘してみせる。限界要素の改善が進み、プラズマテレビ最終製品の価格は、2010年には現在の半分近くまでコストダウンできると見込む。
最大の武器は同社が築き上げた垂直統合体制。パネルや画像処理LSIなどの基幹部品を内製化し、最終製品の組み立てまで自社で行う。機能面での差別化や知的財産のブラックボックス化、世界同時発売など、他社を突き放す強さの源泉となっている。
25日には韓国Samsung SDIがPDPラインの増設計画を発表。世界大手の「大型はPDPへ」という流れが今後進むとの見方があるが、川上副社長は「パネルを作るだけではなく、部品からすべてそろえる垂直統合が大事。他社が大量に参入してくるということは考えられない」とした。
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