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Vista移行を簡単にするMS第2の「Bob」

» 2006年08月03日 14時57分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftは最近獲得したアプリケーション移行技術「Alohabob」を、Windows Vistaの最初のリリース候補(RC1)とともに7〜9月期中にリリースする計画だ。

 Microsoftは2006年に入り、アプリケーション移行技術を専門とするApptimumを買収し、Alohabob技術を獲得した。

 Microsoftはその際、特にWindows Vistaへの移行に重点を置きつつ、Apptimumの知的所有権と技術資産を「古いコンピュータと新しいコンピュータの間のアプリケーション移行プロセスの合理化」に役立てたい、との考えを明らかにしている。

 Microsoftのプラットフォーム&サービス部門担当の共同プレジデント、ジム・オールチン氏は7月27日に同社本社で開催された金融アナリスト向けの会合で、eWEEK編集部に対し、Alohabobプログラムは既にテストの準備が整っており、「今四半期中」にWindows Vista RC1とともにリリースされるだろうとの見通しを明らかにした。

 Windowsを使ってコンピュータ間でアプリケーションやファイルを移行する作業は以前から、時間のかかる退屈なプロセスとされてきた。だがオールチン氏によれば、もはやそれも昔の話だ。Alohabobを使えば、従来よりも容易かつ迅速にアプリケーションの移行を実行できるからだ。

 最近のAppleのMacでは、アプリケーションの移行は既に容易になっている。ユーザーはアプリケーションを移行するためのセットアップの際にオプションを選択でき、2台のコンピュータを接続するだけでいい。

 「私は既にAlohabobを使っているが、アプリケーションの移行プロセスは信じられないほどスピードアップされる。実際、私はこの技術を使って、わずか30分ですべてのアプリケーションを別のコンピュータに移行できた」とオールチン氏。

 Windowsグループの製品マネジャー、ガブリエル・ドーフマン氏はApptimum買収の際、「Vistaでは“コアの移行経験”とでも呼ぶべき分野に重点を置いているが、われわれはVistaに何かアプリケーション中心の技術を追加することで、その分野を補完したいと考えている」と語っている。

 「今後、そうした移行経験では、アプリケーションがどのように機能し、どのようにモデル化され、それを新しい環境でどのように読み取るかといったことを理解できるようにしたい。Apptimumはそうした目標を達成するための最善の選択肢だった。Apptimumの基本的なアプローチが一番優れていた」と同氏。

 またオールチン氏は、Windows Vistaが現行のスケジュール通りに出荷されそうかどうかを尋ねられ、今のところ、すべての状況がその可能性を示している、と答えている。現行のスケジュールでは、Windows Vistaは年内に製造工程向けにリリースされ、その時点でボリュームライセンス顧客向けにコードが提供され、一般ユーザーには2007年1月にリリースされることになっている。

 レビュアーやテスターの間からは、Vistaはまだ準備が万全ではないと指摘する声や、さらなるリリース延期を求める声や、第3β版の必要性を指摘する声まで聞かれている。

 「現行のスケジュール通りに進むかどうかについては、今四半期中にRC1をリリースする段階でもっと明確に把握できているだろう。だが今のところ、すべての状況は予定通りにリリースできそうな見通しを示している。とはいえ、予定を狂わせる何かが起きる可能性は常にある。結局のところ、製品の出荷スケジュールはその完成度で決まる」とオールチン氏。

 また同氏は、2007年1月末でMicrosoftを退社する意向に変わりはないかとの質問にも断固とした姿勢を崩さず、次のように答えている。「Vistaを早くに出荷したとしても、私は予定通り1月末で退職する」

 さらにオールチン氏は、Vistaの起動時間の改善はまだ十分ではないが、「休止状態(ハイバネーション)」モードへの移行は驚くほどに高速だと指摘している。

 また同氏はWindows Vistaの第2β版に対する批判について、βテスターによって報告された上位20個のバグのうち13個は第2β版がリリースされた時点で既に解決されていたが、第2β版の最初のリリースには含まれなかった、と説明している。

 「フィックスが追加され、コードは大幅に改善されている。電源管理に関する問題は、私に言わせれば、大げさに取り上げられすぎている」とオールチン氏。

 なお、Microsoftは2006年7月にWindows Vista以降のWindowsデスクトッププラットフォームの開発指針となる12個の原則について発表したが、その件について尋ねられたオールチン氏は次のように答えている。「これらの原則は特に新しい決まりではなく、前から従ってきたものだ。だが今回の発表はわれわれの姿勢を正式に表明し、正式に約束するためのものだ」

 だが同氏は、こうした基本原則をいつごろからWindows開発に適用してきたのかや、Windows XPがこうした原則に則って開発されたかどうかについては明答せず、一部の原則については、Microsoftを相手取った米国での独禁法訴訟の最終和解命令に起因したものだと説明している。

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