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電子投票マシンには不安が残る――米大学研究

» 2006年09月16日 07時58分 公開
[ITmedia]

 米プリンストン大学が、11月の米国中間選挙を前に、電子投票マシンについての研究報告を行った。

 研究対象となったのは、全米で3万3000台が利用されているという米Diebold Election Systemsの「AccuVote-TS」。Dieboldの投票マシンは、新バージョンの「AccuVote-TSX」とともに、全米で最も利用されている投票用プラットフォームで、2006年11月の選挙では全米の投票者の10%近くが利用すると見られている。

 報告によると、AccuVote-TSは、投票結果の改ざんなどを行うマルウェアの攻撃対象になりうるうえ、そうした攻撃は事後捜査で検出できない可能性もあるという。マルウェアのインストールは、投票マシンや、マシンに挿入されるメモリカードに物理的にアクセスできれば、1分で完了できるとしている。また、ウイルスへの脆弱性も指摘、こうした脆弱性はソフトウェアの改良だけでなく、場合によってはハードウェアの交換が必要とも報告しており、セキュリティ向上のためには、選挙手続きのさらなる変更も必要だ、としている。

 これに対しDieboldはコメントを発表。分析に使用されたマシンの出所が不明な点にも触れた上で、使用されたマシンのセキュリティソフトが2世代古いものであり、現在は米国内で利用されていないと考えられること、選挙時に行われるセキュリティプロセスを考慮していないこと、セキュリティタグ、セキュリティテープなどが破壊されているか紛失した状態だったため、研究者らがシステム内部にアクセス可能だったことなどを挙げ、「研究は非現実的かつ不正確なもの」としている。

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