ITmedia NEWS >

“ネットの声”をお金にするにはネット時代の新潮流――CGMとは(7)(2/2 ページ)

» 2006年09月19日 08時33分 公開
[伊地知晋一,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ビジネスになりやすいCGM、なりにくいCGM

 CGMのビジネスモデルの中には、ユーザーからのアクセスが多く人気があるにも関わらず、ビジネスとして苦戦しているものもあるのですが、ビジネスになりやすいもの、なりにくいものには、一定の傾向が見られます。

 ビジネスになりやすいCGMは、ある秩序に則ってCGMの集合体を形成しており、多くの人々による知恵(衆知)が相乗効果を発揮しています。

 秩序が形成されるパターンには次のものがあると考えます。

(1)ある方向性に則り、CGMが収集されている(特定方向のCGMが集まりやすいようレールが引かれている)。

(2)技術的あるいは人の手により価値のあるCGMが抽出され整理(編集)されている。

 もともとは無秩序に集められたものでも、処理を加えることで、抽出され整理されたCGMの集合体とすることができます。

(3)誰が発信した情報なのかが分かる(プロフィールがある)。

(4)レーティングされている。

 CGMや、それを発信する人の信頼度を、技術的あるいは人の手により評価します。

――これらの要素が含まれている秩序あるCGMの集合体には、信頼性、閲覧性が高まりやすくなります。

 広告型の場合は、掲載される情報と広告との関連性も深まり、広告単価が上昇し、広告クリック率も向上します。

 エスクロー型や販促型では、これらの要素が含まれていると信頼性と説得力が増し、買いやすくなります。データベース型では、データベースの精度が増すことでより便利なサービスとなります。

 これらの要素が含まれない無秩序なCGMの場合、広告主はどのようなCGMに広告が表示されるか分からないために広告を出しにくく、CGMと広告の内容がかけ離れてて広告がクリックされる確率が下がります。エスクロー型や販促型では信頼性が低下して販売力が下がり、データベース型ではデータベースの精度が下がります。

 インターネットは誰でも自由に情報発信ができるものです。しかしビジネスとするためには、ある程度の垣根を設け、その範囲の中での秩序のある自由な世界とした方が、成立しやすいと言えます。

CGMのビジネスモデル

 CGMのビジネスモデルを考える上で重要なことは、多くの人々による知恵を取捨選択し、1つの目的を持たせる。あるいは多様な知恵を組み合わせて、1つの目的を持たせることです。

 1つ1つのCGMは、1つの細胞のようなもので、それ単体ではとても弱いものですが、集合体となり、ある目的を持った時には、さまざまな生物が地球上に存在するように、多様な形態を持ったビジネスモデルがネット上に現れ、息づくでしょう。

ネット時代の新潮流――CGMとは バックナンバー

第1回:2ちゃんねるもYouTubeもCGM

第2回:CGMと既存メディアの“マッシュアップ”

第3回:口コミがマスコミを超える日

第4回:「のまネコ」「やわらか戦車」に見るCGMビジネスのリスクとチャンス

第5回:SNSやブログ、「勝ち組・負け組」の分かれ目は

第6回:なぜ起こる? 「炎上」の力学

伊地知晋一氏のプロフィール

 ライブドア社長室長 コーポレート担当。グループ会社全体のWeb戦略を推進している。

 1996年、メール配信システムのシノックスの取締役として創業から参加。退職後、ユーティリティー系ソフトを販売するプロジーグループに入り、オンザエッヂ(現ライブドア)による買収と同時にオンザエッジに合流。

 2002年、オンザエッヂの旧ライブドア買収に伴い、無料プロバイダー・ライブドアの責任者として運営に当たる。2003年、ポータルタルサイト ライブドア立ち上げ。同時にスタートしたブログが国内最大のサービスに成長した。このほか、約2年半で50以上のネットサービスを立ち上げる。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.