インターネットは、学生の就職活動を便利にした。しかし同時に、学生が陥る可能性のある不気味な「落とし穴」も、同時に作り出したのかもしれない。
米国西海岸で大学院に通うタイラーさん(25)は、このところ就職活動である噂が気になっている。「――企業の人事担当者は最近、Googleで学生の情報を検索しているという。これは本当だろうか?」
実は、タイラーさんは学部生時代に政治関連の雑誌を創刊、編集した経歴がある。彼自身、それを隠したりはしていないが、政治のトピックはとかくデリケートな問題が絡むもの。人事担当者によっては、ネガティブな評価を下すかもしれない、というわけだ。
それでなくとも、アメリカの学生はしばしば「MySpace」などのSNSに複数の写真をアップロードする。その中に馬鹿騒ぎの様子を写した画像が含まれていたり、あるいはポルノ関連のトピックが含まれていた場合、仮にそれが人事担当者の目にとまれば、印象が悪くなるおそれもある。
「これは非常に重要な問題だ。企業がGoogleでアクセスできる情報をコントロールできるよう、我々は適切な対処をしなければならない」
昨年日本で就職活動をした男性(27)も、実名で利用していたブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を匿名に変え、就職活動関連や女性関係など問題のありそうなエントリーは削除した。きっかけは、社会人の先輩に「君のブログは危険だから下げたほうがいい」と言われたためだ。
「ブログのアクセス解析をしていたら、就活先の会社からのアクセスがあった、という友人もいました」。実名登録しているSNSからプライベートなブログへのリンクを削除するなど、就活をきっかけに、ネット上での活動を匿名化したり縮小した友人は多いと彼は言う。
東京のIT企業に勤めるある人事担当者(27)は、実際にネットを採用活動に使っていると話す。
一例として挙げたのが、就職活動に関連した情報を掲載するコミュニティーサイト「みんなの就職活動日記」(みん就)だ。学生同士が情報を共有するためのサイトだが、企業としてもどんなことが書かれているか目を光らせている。その中で、どの学生がどの書き込みをしたか、特定できる場合もあるようだ。
「面接を受けに来た後、すぐ“みん就”に書き込む学生がいる。そういう子は『ああ、あの子だな』と分かる」
意図的に、学生の情報をピンポイントで調べることもあるのだろうか。この質問に対しても、前出の人事はそれに類したことはある、と明かす。
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