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スカパーとJSATが経営統合、「最終形ではない」

» 2006年10月26日 18時59分 公開
[ITmedia]
photo スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 代表取締役社長の仁藤雅夫氏(左)と、ジェイサット 代表取締役社長の磯崎澄氏(右)

 スカイパーフェクト・コミュニケーションズとジェイサット(JSAT)は10月26日、共同株式移転による持ち株会社設立を設立しての経営統合に基本合意したと発表した。

 有料放送プラットフォーム「スカパー!」を有するスカイパーフェクト・コミュニケーションズと、9つの衛星を保有するJSATが経営統合し、リソースを一本化することで有料チャンネル放送の市場拡大を狙う。

 合意に伴い両者の完全親会社になる「スカパー・JSAT」が設立され、両者はその傘下の企業として運営される。臨時株主総会の承認を得た上で、2007年4月2日をめどに持ち株会社体制に移行し、持ち株会社との株式転換比率はスカパー!1に対してJSATが4。スカイパーフェクト・コミュニケーションズとJSATはそのまま事業子会社としてこれまでの事業を継続する。

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 新会社の代表取締役会長はJSAT 取締役 専務執行役員の秋山政徳氏が就任し、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 代表取締役社長の仁藤雅夫氏は代表取締役社長に就任する。

photo スカパー・JSATの代表取締役社長に就任する仁藤氏

 「統合によってコンテンツと衛星運営を1社で行うことになるため、採算の一元化が可能になる。結果として、放送事業者へのサービス最大化や顧客満足度の向上を図れる」――新会社の代表取締役社長に就任する仁藤雅夫氏は統合の狙いをこう説明する。

 「まだまだ有料多チャンネル放送波の市場が成長する余地は残されている。しかし、地デジやWeb放送など多くのライバルが登場するなど環境の変化も進んでおり、向こう5年でどれだけユーザーを獲得できるかがポイント。そのためには根本的な事業構造の改革が必要だと考えた」(仁藤氏)

 事業体としての最適化が進むために市場に対しての投資も行いやすくなる。放送事業者のHD化を支援する体制を整え、110度CSはもちろん、2008年夏には124/128度放送のHD化(約10チャンネル)を開始する。2009年秋にはさらに20チャンネルを追加することで、デジタルテレビ時代にもマッチした放送であることをアピールしていく。

 水平方向への事業展開も視野に入れる。スカパー!/スカパー!110をコア事業として収益力を高めていきながら、FTTH向けサービスやモバイル、衛星通信などの各種関連事業をより幅広く展開していく考えだ。

 新会社「スカパー・JSAT」はグループ全体の企画運営/管理を統括する機能に特化させる方針で、将来的にはスカパー!・JSATの傘下に通信衛星事業、プラットフォーム事業、有線事業、モバイル事業など各事業子会社が展開される形態がイメージされている。「今回の統合が最終形ではない。持ち株会社の下にさまざまな事業を展開していくことも構想している」(仁藤氏)

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 2007年3月期の当期利益は、スカイパーフェクト・コミュニケーションズが15億円、J-SATが60億円(いずれも連結)だが、統合後の事業計画は現時点では未定。中長期的には、2011年に総加入者700万〜800万件、売上高2000〜3000億円を目指すとしている。

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