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無線LAN共有の「FON」始動 ツクモやエキサイトと提携

» 2006年12月04日 18時25分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 登録ユーザー同士で無線LANを共有するプロジェクト「FON」を展開するフォン・ジャパンが本格始動する。12月5日に専用ルータのネット販売を開始。九十九電機やエキサイトとも提携し、認知拡大とユーザー獲得に注力する。

 FONはスペインで始まったプロジェクトで、ユーザーは自宅の無線LANアクセスポイント(AP)を開放する代わり、他のユーザーが開放したアクセスポイントを無料で利用できる。フォン・ジャパンは、FON WIRELESS(英国ロンドン)の子会社で、デジタルガレージと協力して事業展開する。

画像 専用ルータ「La Fonera」を手にするFON創業者のマーティン・バーサフスキCEO

 ユーザーは、(1)自宅のAPを無料開放する代わりに他人のAPも無料で利用できる「Linus」、(2)自宅のAPを有料開放し、他人のAPも有料で利用する「Bills」、(3)APは開放せず、他ユーザーのAPを有料で利用する「Aliens」の3タイプ。

 まずはLinusのみを募集し、2007年末までに都内を中心に7万5000登録を目指す。Linusとなってくれる住宅が少ない都心では、ISPなどと提携してAPを増やす計画だ。Aliensは来年第1四半期にも募集を始める予定。接続料金は未定だが、欧州では24時間あたり3ユーロで提供している。

 Linus用の専用ルータは「La Fonera」はプラネックスコミュニケーションズ製で1980円(税込み)。SSIDを2種類設定でき、開放用とプライベート用で使い分けられる。お互いのネットワークを遮断してセキュリティを確保。帯域幅を制限する機能も備えている。

 La Foneraは専用Webサイトと九十九電機で販売する。専用サイトでは12月5日から9日まで、1000台限定で無料提供する。

 FONの認知を高めるため、エキサイトと提携し、都内や関東に26店舗ある「エキサイト・ブロードバンド・カフェ」にFON専用ルータを設置。都内在住のBB.Excite会員から3000人のモニターを募集し、ルータを無料で貸し出すなどプロモーションを展開する。

「ただ乗りではない」

 FONのアクセスポイントは世界144カ国にあるといい、登録者数は合計約16万8000人。昨年11月の1500人から10倍以上に増えた。発祥の地スペインのユーザーが最も多く(2万3648人)、次がドイツ(2万2740人)、3位が韓国(1万8270人)。ユーザーの8割がLinusという。

 収入源は、専用ルータの売り上げと、Aliensからの接続料収入が中心。国内では2007年年間で8000万円のルータ売り上げと、1000万円の接続料収入をあげる計画だ。AP網が張り巡らされた後は、FONへのアクセスページに掲載する広告やアフィリエイト、課金コンテンツからの収入を見込む。

 ISPとも提携し、接続料収入をシェアする計画。FON創業者のマーティン・バーサフスキCEOは「FONはISP業者のインフラにただ乗りしているわけではない。提携したISPは軒並みユーザーや収入を増やしている」と強調した。

 FONにはSkypeやGoogleも出資。無線LANの普及によるビジネスチャンス拡大に期待を寄せている一方で、セキュリティの問題や、インフラただ乗りの問題も指摘されている。

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