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Appleだけがユーザーバリューを本当に理解している?(1/2 ページ)

» 2007年01月16日 18時17分 公開
[David Morgenstern,eWEEK]
eWEEK

 米Appleのスティーブ・ジョブズCEOは1月9日、サンフランシスコで開幕したMacworld Expoで基調講演を行い、技術設計におけるユーザーバリューについて年に一度のレッスンとなるような話をした。だが、この業界には、この講座を履修していそうな人がなぜほとんどいないのだろう?

 それは大きな謎だ。実際、人は統合の力を軽視しがちだ。それが、ハードウェアとソフトウェアであれ、ソフトウェアとサービスであれ、あるいは、Appleの「iPhone」のように、この3者がすべてかかわってくる場合であれだ。

 ジョブズ氏が初めてiPodとiTunes Music Storeのデモを披露したときも、簡単に片付けてしまうアナリストが少なくなかった。iPodはハードウェアインタフェースに便利な新技術を備え(クリックホイール)、それが同デバイスのコンテンツ管理ソフトウェアアプリケーションとうまく調和していたが、一部の向きには、同製品は「過密している市場に投入される単なる新製品の1つ」としか映らなかった。

 だがユーザーがiPodにひかれたのは、同システムでは、あらゆる要素がうまく連携して機能していたからこそだった。その要素とは、つまり、内蔵されているアプリケーションの性能、ハードウェアとユーザーインタフェースに表れた技術力、音楽ストアとの簡単な統合だ。各コンポーネントがそれぞれ、優れた性能と使い勝手の良さを発揮し、それらすべてが相まって、素晴らしい製品を作り出していた。

 ジョブズ氏が9日に語ったところによると、AppleがこれまでにiTunes Storeで販売した楽曲数は20億曲に上り、2006年には12億曲を販売したという。もちろん、これは成功の印だ。

 それでも、聴衆の記者席のなかには、iPhoneの価値を認めない向きもいた。そのなかにはおそらく、インターネットが初めてデモされたときにも、その価値に気付かなかったような人たちがいるのだろう。

 ただし、ジョブズ氏がMacworldで行うデモの最中に現実を冷静に判断するのは難しいであろうことはわたしも認める。なにしろ、ジョブズ氏はそうしたデモの名人であり、会場のMoscone Centerでは、同氏の発する言葉を一言一句聞きもらすまいと、巨大スクリーンに大きく映し出された同氏の口元に大勢のMacファンが注目しているのだから。

 それでも、iPhoneはクールなものに対するわたしのアンテナにヒットした。フルブラウザを搭載し、外観はほとんどタブレットPCのようだが、サイズは小さく、電話機能を備えている。ジョブズ氏が言っているように、現行のスマートフォンの大半は実際のところ、あまりスマートではない。それと比べて、iPhoneのIQはけた外れのはずだ。

 わたしは暗がりで幾つか、以下のようなメモを書き留めた。

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