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日本語版は「1〜2カ月以内」 Second Lifeのいま

» 2007年01月18日 19時25分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 「“より良い場所”を提供したい。障害を持っている人でもSecond Life内なら自由に動き回れるなど、現実社会の壁を取り払える」とロビン・ハーパー氏

 3D仮想世界「Second Life」を運営する米Linden Lab幹部が来日し、Second Lifeコミュニティーについて、1月17日に開かれたセミナーで語った。約270万の登録ユーザー(1月18日現在)のうち、日本人は約1万4000。日本語版は1〜2カ月以内には公開したいとしている。

 デジタルハリウッドが主催したセミナーで、Linden Labのコミュニティ開発・サポート担当バイスプレジデントのロビン・ハーパー氏が語った。セミナーにはテレビ局や新聞記者、広告業界関係者など100人以上が参加し、会場は満席に。終了後は名刺交換を求める人が長い列を作り、注目度の高さがうかがえた。

 Second Lifeの登録ユーザーは米国人が50%を占め、次いでヨーロッパ人(28%)、アジア人(11%)、ラテンアメリカ人(6%)という順だ。平均年齢は32歳、女性率は43%と、新興ネットサービスとしてはやや高め。過去60日以内にアクセスしたアクティブユーザーは、18日現在で約85万人となっている。


画像 結婚式を挙げる人も
画像 ユーザー分布

 3Dモデリングシステムを備え、アイテムや建物などといったオブジェクトをユーザーが自由に作成できるのもSecond Lifeの特徴で、オブジェクト総数は1億以上。ダンスパーティーやミーティングといったイベントもユーザーが企画し、毎日900以上開かれているという。

 企業や大学の進出も目立つ。日産自動車やソニーBMGなどがプロモーションを展開しているほか、米国の大学は60以上も進出。Second Life内で講義などを行っている。東京大学も近く進出予定という。

昨年急に有名に

 Second Lifeは、創業者のフィリップ・ローズデールCEOが「ユーザーが協力しながら創造できる、新しい世界を創りたい」と2002年にβ版を公開した。ユーザー数が急増したのは昨年。6月にクレジットカード不要にし、登録が手軽になった上、大手企業が参入したことで知名度が上がったためという。

 ハーパーさんは「この世界では起きることは予測不能だ」と笑う。「オープンし、最初の住人が現れた日は、翌日が楽しみだった。翌日ログインしてみると、空に届くほどの豆の木が植わっていて、その隣には立派な家が建ち、煙突から煙が出ていた」

 ちなみに、アバターのラストネームを限られた選択肢から選ばなくてはならない仕様は「同じラストネームを持つユーザー同士で親近感を持ち、話のきっかけにしてもらいたかったから」という。企業向けには、企業名などをラストネームとして登録できるサービスを提供している。

ユーザーの自主性尊重 「警察」にはならない

 世界を運営していく上で、同社はコミュニティーとの対話を重視しているという。ハーパーさんも「Robin Linden」のアバターでログインし、自前の茶室でユーザーの意見を聞いている。

 ユーザーも同社に対して積極的に意見する。例えば、同社がSecond Life内の税金を上げようとした際、それに反対するプラカードを持ったユーザーが複数押し寄せてデモ行進を行ったため、断念したことがあったという。

 問題行動を起こすユーザーもいる。同社は、規約違反のユーザーが報告されれば、そのユーザーの行動をチェックし、問題があればアクセス制限するなど対応をとるが、自ら積極的にユーザーを取り締まることはない。「Second Lifeの警察役をするつもりはない。できる限りユーザーにコントロールを与えたい」

 ちなみにSecond Lifeで「プライベートアイランド」を買って私有地を作れば、発言や行動について私有地オーナーがルールを決めることもできる。

画像 American Apparelのショールーム

 Second Lifeへの参入を考えている企業に対しても、顧客との対話が重要と説く。「Second Lifeに顧客を連れて来たいなら、まず操作を教えてあげるところから始めなくてはならないだろう。顧客のPCのグラフィックスカードが対応しているかなど、動作環境にも注意してあげなくてはならないし、たくさんの人を一度に相手する準備も必要だ」

 大手メーカーが作ったショールームでも、人が来るのは最初だけで、すぐに閑散としてしまうこともある。「1回来たらそれでいいと思われる。ショールームの内容を頻繁に更新したり、現実社会のショップと連動したり、イベントを行うなどして顧客を引きつける努力も必要だ」

日本語版は「1〜2カ月以内に」

 今後はオープンソース化やAPI公開を進めていく。まずは、Second Lifeログオン時に指定した場所に誘導するためのAPIと、ゲーム内通貨「リンデンドル」を別の通貨などに両替するためのAPIを公開予定だ。

 機能追加も順次行う。検索性能を向上させたり、音声チャットができる機能などを近々を追加するという。

 昨年末に公開予定だった日本語版だが、他の機能開発を優先したことなどが影響して開発が遅れている。「1〜2カ月以内には公開したい」(同社で日本戦略を担当する土居純さん)。日本人が集まり、日本語で会話してもらうための村も建設したい、としている。

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