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サイバー犯罪めぐる状況は急速に悪化――Kaspersky Lab

» 2007年01月19日 09時47分 公開
[ITmedia]

 サイバー犯罪は今やインターネットの一部となり、不正に得た利益でマルウェアの高度化が進む中、これに対抗するのはますます難しくなっている――。ロシアのセキュリティ企業Kaspersky Labは1月18日、サイバー犯罪の現状についてまとめた報告書を発表した。

 マルウェアの取引市場は急拡大しており、新しい悪質プログラムの数は、同社の統計で2001年の8821件から2006年には8万6876件へと激増した。

 以前の悪質プログラムは学生が暇な時間に書くものであり、ウイルス対策ソフトメーカーが対処するのも簡単だったが、年を経るごとにこれが難しくなっていると報告書は指摘。今やサイバー犯罪をなくすことができるかどうかではなく、サイバー犯罪の進化をどの程度食い止めることができるかの問題になっていると解説する。

 サイバー犯罪関連の売り上げ規模は、ウイルス対策ソフト業界の売り上げ規模を大幅に上回る状況になった。犯罪集団が不正に得た利益で高度な技術を持った人材を雇い、新しい攻撃技術の開発を進めているという。

 こうした中、2006年は金融機関が独自にサイバー犯罪対策に着手するなど、企業がサイバー犯罪の問題を認識し始めた年と言えると報告書は分析する。

 政府機関については、サイバー犯罪との闘いで最も広範かつ強力な手段を持っている半面、動きは最も遅いと指摘。国境を越えた犯罪捜査の難しさや、意思決定の遅さを問題点として挙げている。

 Kaspersky Labによれば、セキュリティ企業は今のところ何とかサイバー犯罪に対抗できているが、状況は急速に悪化。サイバー犯罪の組織化と統合が進んでいるのに対し、セキュリティ企業と政府機関、民間企業などの協力態勢は不十分で、相互の情報共有にも積極的ではないのが現状だ。これを打開するためには、すべての関係者が共同戦線を張ってサイバー犯罪と闘うことが必要だと報告書は結んでいる。

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