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ネット広告費、雑誌に迫る テレビなど4媒体は2年連続前年割れ

» 2007年02月20日 20時35分 公開
[ITmedia]

 電通が2月20日発表した2006年の日本の広告費調査によると、総額は5兆9954億円となり、前年比0.6%増と横ばいだった。いわゆるマスコミ4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が2年連続で前年割れとなった一方、約30%増えたネットがラジオの2倍以上に達し、雑誌に迫る勢い。広告市場全体の拡大はネットやCS放送などの新メディアに頼っている状況だ。

 景気の回復基調もあり、全体では微減ながら前年を上回った。トリノ五輪やサッカー・ワールドカップなどがプラス材料になったほか、後半にはワンセグや携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の開始に伴い携帯向け広告が活発化した。

 一方で消費者金融各社が相次いで広告を自粛した影響や、前年の衆院選や東京モーターショー関連の反動減もあり、伸び率は低下した。

 マスコミ4媒体は、新聞が9986億円・3.8%減、雑誌が3887億円・1.5%減、ラジオが1744億円・1.9%減、テレビが2兆161億円・1.2%減──と軒並み前年割れに。新聞は消費者金融の大幅減が響いて1兆円を割り、雑誌は休刊が創刊を上回り押し上げ効果が縮小。ラジオは追い風になる要因がなく、テレビはレギュラー枠の不調や、金融分野の減少などが響いた。

  広告費(前年比)
総広告費 5兆9954億円(+0.6%)
4媒体合計 3兆5778億円(-2.0%)
新聞 9986億円(-3.8%)
雑誌 3887億円(-1.5%)
ラジオ 1744億円(-1.9%)
テレビ 2兆161億円(-1.2%)
SP(販売促進) 2兆2億円(+0.9%)
衛星メディア関連 544億円(+11.7%)
インターネット 3630億円(+29.3%)

 ネットは3630億円・29.3%増。伸び率は前年(55%)から鈍化したものの、順調な拡大が続いた。そのうちモバイルは390億円・35.4%増。検索連動広告は930億円で、ネット全体の4分の1を占めた。

 GyaOやYouTubeの登場でPCによる動画視聴が普及し、動画向け広告が増加傾向に。また「○○を検索」といったネット誘導手法が一般化し、検索エンジンマーケティング(SEM)は57.6%増の930億円に拡大した。モバイルはナショナルクライアントがキャンペーンで活用するケースが増えた。

 CATVやCS放送などの「衛星メディア関連」は544億円・11.7%増に。CATVはトリプルプレイの普及で加入世帯が増え、地域広告主の出稿も順調。CSは広告主からターゲットメディアとして認知され始め、スポーツや音楽、アニメ、映画などのチャンネルで売り上げを伸ばした。BSも通販枠の好調などで20%増えた。

 2007年の予測は、全体が1.1%増の6兆613億円。個人消費の回復傾向に加え、Windows Vista発売や統一地方選、参院選、世界陸上、東京モーターショーなどがプラス要因。情報・通信や家電・AV危機、金融・保険、ファッション・アクセサリー、自動車など広範囲で積極的な広告活動を見込んでいる。

 マスコミ4媒体は1.0%減と3年連続のマイナスを見込み、4媒体以外はネット広告などが寄与して4.2%増と予測した。

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