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携帯で買った動画をPCでも FeliCaで認証、実験サービス開始

» 2007年03月05日 17時15分 公開
[ITmedia]
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 インテル、フェイス、吉本興業の3社は3月5日、FeliCaを搭載した携帯電話とPC向けに開発した有料動画配信方式の実証実験を始めると発表した。動画コンテンツを購入した携帯電話をPCにかざすと、PCでも購入した同じ動画を簡単に視聴できるようにした。購入した動画をどこでも好きな時に楽しめる新サービスとして、実験の結果を踏まえて年内の商用化を目指す。

 フェイスが開発した権利認証技術「Near Field Right Management」(NFRM)を活用する。まずFeliCa携帯電話で有料動画を購入。そのまま携帯電話でも楽しめるが、FeliCaポートと専用ソフトを搭載したPCにかざすと、コンテンツの権利情報をFeliCa経由でPCに転送。PC向け配信サービスに接続し、同じ内容の動画をPCでも楽しめる仕組みだ。

 実証実験は6日から6月末までの約4カ月間。期間中は無料で視聴でき、吉本のほか朝日放送やオンデマンド・ティービー、ナショナルジオグラフィックスチャンネルなど15社程度が数十コンテンツを提供。利用にはNTTドコモのおサイフケータイとWindows XPマシンが必要。

携帯とPCの良さを活用しあう

 携帯電話は個人認証機能がPCに比べ確実な上、少額決済機能も充実している。また「CDやDVDと違い、ケータイを貸し借りすることはない」(フェイスの踊契三取締役)ため、権利情報を格納するには都合がいいとみている。

 一方でPCは画面が大きく、高精細な動画をスムーズに再生できる点などで有利。新サービスは、こうした携帯とPCの利点をFeliCaを介して活用しあい、ユーザーの利便性を高めて有料動画配信の市場を盛り上げたい考えだ。

 フェイスは昨年、W-ZERO3と無線LANを使った同様の機能を披露しており(関連記事参照)、Bluetoothなどの活用も研究中としている。フェイスの平澤創社長は「フェイスが着メロ用に『CompactMIDI』を普及させたように、NFRMをコンテンツ配信の新たなルールにしたい」と意気込む。

 フェイスとインテル、吉本興業の3社は共同出資のコンテンツ配信会社を設立するなど、この分野で協力してきた。2月にはフェイスにIntel Capitalと吉本が出資すると発表。吉本の吉野伊佐男社長は「権利認証はコンテンツ会社の最大の悩み。誰でも持っている携帯電話の活用が配信ビジネスの発展につながることを期待したい」と語り、今後は新サービス向けに最適なコンテンツも研究していくという。

 Intel Capitalは、FeliCaを使った電子マネー「Edy」を展開するビットワレットにも出資している。インテルの吉田和正共同社長は「デジタルホームは現実化してきている。日本の強みである携帯インフラとブロードバンド、コンテンツを結集してデジタルホームをけん引したい」と話した。

photo (左から)フェイスの平澤社長、吉本の吉野社長、インテルの吉田共同社長

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