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「Yahoo!JAPAN研究所」設立 村井純氏が顧問に

» 2007年03月26日 20時27分 公開
[ITmedia]

 ヤフーは3月26日、インターネット関連の新技術や、ネットと社会の関係などについて研究する「Yahoo!JAPAN研究所」を、4月1日付けで社内に新設する。最高技術顧問に村井純・慶応義塾大学教授を迎え、産学官で連携して研究を進める方針だ。

 同社の井上雅博社長が所長に就任。研究員5人と、企画スタッフなど計約10人ほどでスタートし、30〜40人規模に拡大していく。

 今後10年を見据えた長期的な視野での研究と、2年程度のスパンで取り組む基礎研究、商用化を前提にした1〜2年程度の応用研究をそれぞれ行う。米Yahoo!の研究所「Yahoo! Research」と連携するほか、国内の大学・企業の研究所、官公庁との連携も行っていく。

 研究内容は、構文解析や形態素解析などの自然言語処理、検索クエリーログを使った情報検索技術、ネットユーザーの行動分析、有害情報のフィルタリング技術、ネットによる生活の変化についての調査分析──などを想定している。

「“Web3.0時代”の標準作りたい」

画像 「10年先を見据えていきたい」と井上社長

 研究所の設立は、ヤフー創業10周年事業の1つとして昨年発表した。「Web3.0やWeb4.0の世界が来るならば、他の人に作ってもらうのではなく、うちでやりたい」――井上社長は同日開いた会見で、意気込みをこう語る。

 「インターネットは、米国のマネをして育ってきた部分が多分にある。だが米国の生活と日本の生活は異なるし、ネット端末はPCだけでなく、携帯、カーナビ、家電などに広がっており、それらは日本が得意とする分野だ。これからのネットサービスを、日本で開発していきたい」(井上社長)。研究成果の商用化も視野に入れているが、ビジネスに結びつかない基礎研究も推進していく。

画像 「研究成果を公開することで、ネットの標準化にも貢献できる」と村井教授

 研究員は、修士号取得者などを中心に募集する。「面白いと自ら確信できることを持っていて、その思いを熱く語れる人に来て欲しい」(井上社長)

 「米Googleは無料のカフェテリアなどで優秀な研究員を惹きつけているが、ヤフー研究所も、研究員に何かステータスを感じさせるような施策をするのか」と記者から問われた井上社長は「昼食分ぐらいの働きはしてほしい。昼食目当てに来る人はいらない」と一蹴。「昼食代を払いながら十分に生活できるくらいの評価をしていきたい」と付け足した。

 村井教授は、このタイミングで研究所を設立する意義について「今のインターネットは、10年前の1997年にはモデルができていた。そのころからわれわれは、10年先を見越す経験を積んできている。今は10年先を見据えた上で、次に何をするか考えられる時期だ」と語る。

 「ヤフーは日本のネット界で最もノウハウやデータを蓄積してた企業。経験を研究に生かし、人や社会、地球の未来に貢献していきたい」(村井教授)。研究成果をできる限り公開し、ネット技術の標準化も貢献したいと語った。

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