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関西「光」の「どつき合い」で気を吐くケイ・オプティコム

» 2007年03月28日 20時44分 公開
[ITmedia]

 首都圏で「光」といえば、シェア8割とも言われるNTT東日本のユーザーが多いだろう。一方、関西はFTTHの激戦区。NTT西日本との「どつき合い」で気を吐いているのが「eo」ブランドのケイ・オプティコムだ。同社は3月28日、都内で事業戦略を説明し、激しい会員獲得競争を繰り広げている現状などを説明した。

 同社は関西電力の100%子会社として2府4県で通信サービス事業を展開し、52万人のFTTH会員(2006年度見込み)を抱える。

 総務省が公表したデータによると、昨年3月末のNTT西のFTTHシェアは、主戦場の大阪で66.7%、京都で57.5%、兵庫で53.3%。首都圏で圧倒的な強さを見せるNTT東に比べると少なく、和歌山は51.1%、奈良は48.5%、滋賀県は40.3%と5割を切っている状態。対抗軸の中心がケイ・オプティコムだ。

 「FTTH激戦区。『どつき合い』です」──同社経営戦略グループ荒木誠部長は、近畿圏のFTTH市場をこう表現した。ケイ・オプティコムは02年4月、「eo光ネット(ホームタイプ)」をISP料金込み月額6300円でスタート。これに対しNTT西は「Bフレッツファミリー100タイプ」を、ISP料金を含まず月額5670円で開始した。その後ケイ・オプティコムは工事費半額・無料キャンペーンや長期割引制度などを導入するが、NTT西が「だいたい半年後についてくる」(荒木部長)という状況だった。

 04年9月にeo光ネットは月4900円に値下げし、定額制のIP電話「eo光電話サービス」も始めた。固定電話サービスを抱えるNTT西だが、05年4月には「ひかり電話」のスタートに踏み切り、同年6月には月額料金を最大1年間、3360円に下げる「光ぐっと割引」を導入し、現在も継続中。同年7月、ケイ・オプティコムは日本初の最大1Gbpsサービスを投入した。

競争のメリットを享受する近畿圏ユーザー

 総務省のデータを元にケイ・オプティコムは推定したFTTHの都道府県別普及率によると、1位の東京(27.5%)に続くのは滋賀(24.2%)と大阪(21.1%)。5位の京都(20.2%)、8位の兵庫(17.4%)、11位の奈良(16.2%)、12位の和歌山(15.1%)──近畿の平均は19.6%と、全国平均の16.0%を上回っる。荒木部長は「し烈なバトルによる価格面のメリットをユーザーが享受しているからでは」と見る。

 「これ、間違い、です!」──同社のテレビCMでは、「割高」「設定が難しい」といったFTTHのイメージを、俳優の唐沢寿明さんが「間違い」だと断言している。これにならい、同社の山川隆チーフ・ストラテジー・オフィサーはケイ・オプティコムにも2つの間違いがあった、という。

 1つは「いいサービスを作れば売れる」という受け身の姿勢。そうではなく、これからはサービスの良さなどを積極的にユーザーに伝えていく努力が必要という。もう1つは「われわれは接続事業者」だという意識。ユーザー宅に回線をつないだところで終わりではなく、ユーザーが回線を使える環境になった時点で、サービスも使ってもらえる──という意識に転換していく。

 その一環として4月から、電力線通信(PLC)アダプタセット、無線LANルータをそれぞれ月額500円でレンタルする新サービスと、セキュリティソフトなどをユーザー宅を訪問して設定する「おまかせ安心セット」を始める。当面は再値下げは考えておらず、ユーザーの利便性や安全性の向上サポート、「eo光テレビ」の拡充などでFTTHの良さをアピールしていく方針だ。

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