ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

地方局が発信する「通信との融合」Interop Tokyo 2007

» 2007年06月13日 22時14分 公開
[宮本真希,ITmedia]

 「Interop Tokyo 2007」(幕張メッセ、6月15日まで)の会場には、放送局ブースを集めた一角もある。デジタル放送やワンセグ、ネット関連新サービスを各局が出展。ネット関連の新技術を活用し、CMではない「放送外収入」を得るための方策を練る。

 目立ったのは地方局の積極性だ。岩手放送やテレビ金沢、熊本県民テレビがそれぞれ、ネットやワンセグ放送を活用したサービスを構築したり、実験したりしている。

画像 放送局が集まった「デジタル放送サービス/インターネットモバイルサービス最前線」

岩手放送は「ブログの話題」を広告に

 岩手放送は、ネット上で話題になっているキーワードを独自に分析し、その言葉に関係する商品の広告や、ニュースなどを自動で表示する「話題連動型広告配信システム」を紹介している。

 「kizasi.jp」「BLOG 360」など、ブログで人気の言葉を抽出するサービスで上位に入ったキーワードや、検索エンジンでよく検索されているキーワードをリアルタイムで抽出し、それに関連した商品を「Amazon.co.jp」で自動検索したり、関連ニュースを自動でピックアップして表示できる。

画像 話題連動型広告実験サイト

 話題に即した広告が表示されるためクリック率も高まるとしており、実際、同局サイトのトップページに表示したアフィリエイトリンクのクリック率は、通常のバナー広告の7倍という。「ただ、実際に商品を購入する人はそれほど多くない」(説明員)

 キーワードの抽出元データベースや、商品・ニュースのデータベースは自由に変えられるため、例えば、話題のキーワードに関する商品を、自社商品に限定したデータベースから抽出して表示することもできる。

 同局と岩手県立大学が協力してシステムを構築した。「テレビCM以外に、Web広告も出したいという企業も多いが、バナーだけでは弱い。広告をプッシュ配信できるような仕組みを考えてきた結果、生まれたサービス」という。

 まずはシステムを広く周知し、テレビ局だけでなく、データベースを持つさまざまな企業に活用してもらいたい考えだ。

 サービス構築の“副産物”は、ネットの話題が「意外なことに」テレビと連動していたこと。「kizasi.jpを見て、テレビのワイドショーなどで取り上げられた言葉がインターネットで話題になっているということが分かり、驚いた。テレビからネットに誘導し、さらにテレビに戻ってきてもらう、という流れも作れるかもしれない」

ワンセグ携帯でクーポン券を配信

画像 携帯をFeliCaリーダーにかざすと、くじ引きが引ける

 日本テレビ、テレビ金沢、NTTドコモは共同で、ワンセグのデータ放送と、iモードFeliCa端末(おサイフケータイ)の機能「トルカ」を連携させた新サービスの実証実験を行った。おサイフケータイをFeliCaリーダーにかざすだけでくじ引きができるというサービスだ。

 2日に「金沢百万石まつり」を生中継した際、ワンセグデータ放送画面に「電子くじ引き券」を配信。祭り会場の特設ブースのFeliCaリーダーで読み取れば、くじ引きができる仕組みを設けた。

 番組内ではくじ引きについて何度か告知。くじ引き券は放送時間中(3時間)しか利用できなかったが、特設ブースにはワンセグ携帯を持った人が大勢訪れたといい「テレビの力を実感した」(説明員)。

 ただ実際にくじ引きができたのは「3けたに乗った程度」の人数だった。「くじ引き券を取得するまでの操作が難しかったからだと思う。データ放送が何なのか分からない、というような人もブースにやってきた。今後簡単に利用できる仕組みを作りたい」

「ぐるなびとは違う」地方局のグルメサイト

 熊本県民テレビは、グルメ情報サイト「グルメたん」を開設した。地方局の強みを生かし、熊本の店舗情報を専門に扱うことで、大都市中心に扱う「ぐるなび」との違いを打ち出した。

画像 グルメたん

 今年2月にオープンし、すでに県内約200件の店舗情報を掲載している。年間3万6000円の有料制だが「テレビ局が運営しているサイトで、テレビCMも打っているから信頼してもらえる」という。番組で紹介した店舗の情報も掲載し、番組との連動も深めた。

 説明員は「飲食店だけでなく、美容室などジャンルを広げていきたい。テレビ局の強みを生かした方法で放送外の収入を増やしていきたい」と話している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.