グーグルと慶応義塾大学は7月6日、書籍検索サービス「Googleブック検索」に、慶応義塾図書館の蔵書のうち、著作権の保護期間が終了している書籍を加えると発表した。昭和初期までに発行された約12万冊を全文検索・閲覧できるようにする。
夏からプロジェクトを立ち上げ、書籍のスキャニング実験を行う。その後12万冊のスキャンに取り組み、順次データベースに追加していく。まずは、福沢諭吉の著書など慶応に関連する書籍のデジタル化に取り組むが、12万冊すべてが検索できるようになる時期は未定。
Googleブック検索には現在、世界で約1万の出版社と、25の図書館が参加しており、アジアの図書館の参加は初。まず6年間の契約を結び、その後は1年ごとに契約を更新する予定だ。Googleのアダム・スミスプロダクトマネージャーは「現時点では慶応以外の日本の大学と連携する予定はない」としている。
検索対象となるのは、「御伽草子」などの明治初期までに発行された和装本約9万冊と、明治・大正・昭和前期の日本語書籍約3万冊。「旧字体など古い書籍の文字も確実にスキャンできるよう頑張る」(スミス氏)
同大はこれまで、福沢諭吉の書籍の原本119冊や高橋誠一郎の浮世絵コレクションをデジタル化して図書館のサイトで公開したり、ネットで授業を公開するなどしてきた。
安西祐一郎慶応義塾長は「慶応は従来から、学術コンテンツを社会に開放してきた。世界に先駆けて知を広めてきたGoogleと連携し、グローバルな大学として発展していきたい。福沢諭吉の書いたものを世界に広めたいという思いもある」と参加の理由を説明した。
杉山伸也慶応義塾図書館長は「大学の図書館は転換期を迎えていると思う。これまでの図書館は『来館型』。利用者は図書館に行かないと情報を得ることができなかった。これからはネットを通じて図書館のサービスを受けることもできる『ハイブリッド型図書館』になる」と展望を語る。
「Googleのミッションは、あらゆる情報を簡便かつ的確にユーザーに届けること。慶応大学とのプロジェクトの成功に向けて全社を挙げて取り組む」――グーグルの村上憲郎社長は意気込みを述べた。
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