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Google、無線ネットワークの構築コストは約170億ドル?

» 2007年09月27日 15時01分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 米検索広告大手Googleの電気通信メディア顧問リック・ホイット氏が9月25日に語ったところによると、同社が全米規模の無線ネットワークをゼロから構築するためには120億ドルものコストと3年間もの歳月が必要となる可能性があるという。それに加えて、700MHzの無線周波数帯を購入するための費用が最低でも46億ドル掛かることになる。

 「それだけのコストを掛けてまで無線ブロードバンド事業者になりたいかどうかは、今のところ、まだ定かではない」とホイット氏はジョージワシントン大学の政治・インターネット研究所の学生らに語った。

 「皆が思っているよりも多額のコストが掛かりそうだ。われわれは本当にそれを望んでいるのだろうか?」と同氏。

 米連邦通信委員会(FCC)は先ごろ、Googleのほか大手IT企業や各種の権利擁護団体からの意見を参考に、来年1月に行う700MHz帯の競売の条件を定めたが、それ以来、無線周波数帯を獲得し、AT&TやVerizon Wirelessといった従来の無線通信事業者に戦いを挑もうというGoogleの動きをめぐり、憶測が盛んに飛び交っている。

 FCCは競売される無線周波数帯のほぼ3分の1(全米規模のネットワークの構築には十分)についてはオープンアクセスとすることを求め、落札者に対しては、そのネットワークでは、顧客が自分の好きな電話やデバイス、およびアプリケーションを使えるようにすることを義務付けている。

 この決定により、この無線周波数帯に対する従来の通信事業者の関心は薄れるなり、無くなるなりすると見られている。そうした通信事業者は、自社のネットワークを特定のデバイスやサービスに限定しているからだ。FCCのこの決定を受けて、既にVerizonは裁判所に異議を申し立てている。Googleと同様、AT&TやVerizonなどの通信事業者はまだ正式にはこの競売に関する方針を発表していない。

 「ほかにもハイテク企業や小規模通信事業者の協力を募ることになるかもしれない。二番手や三番手の企業は喜んでわれわれと提携してくれるだろう。この取り組みで当社と手を組むことに意義を感じてくれる相手であれば、誰であれ、Googleは喜んで交渉に応じたい」とホイット氏は語った。

 また同氏によると、この競売ではもっと小さく区切られた周波数帯を狙う方が、Googleにとってはプラスになるかもしれないという。あるいは、放送チャンネルやメッシュネットワークの間のバッファゾーンで無免許の周波数帯を使用するなど、最新技術にフォーカスするというやり方も考えられる。

 「Googleはまだどの選択肢にも決めていない」とホイット氏。

 競売にかけられる周波数帯は、テレビ局がデジタル放送への移行でアナログ放送を打ち切るのに伴い、2009年2月から利用できるようになる。この周波数帯の信号は山や壁などを貫通でき、無線ブロードバンドサービスの提供に理想的と考えられている。

 FCCが競売の条件としてオープンアクセスの要件を決定するまで、従来の無線通信事業者は全米でサービス基盤を増築・増強するための方法として、この周波数帯を切望していた。Verizon Wirelessは9月10日にワシントンD.C.の連邦巡回控訴裁判所に提出した申し立てにおいて、FCCが定めた規則は「恣意的で、気まぐれで、法律に違反している」と指摘している。

 「この周波数帯は法律に従い、最高値を付けた入札者に無条件で売却されるべきであり、オープンアクセスのルールは特定のビジネスモデルに不当に味方するものだ」というのがVerizonの主張だ。「この分野では複数のビジネスモデルが成功できるとGoogleは考えている」とホイット氏は言う。

 「1990年代初頭に、AOLの囲い込み戦略によってどういう事態が起きたかを考えていただきたい。彼らは、それが唯一利益を上げられる方法だと言っていた」と同氏。

 ホイット氏はVerizonの訴訟に関しては、「彼らのやっていることについては、あまりよく分からない。おそらく、この無線周波数帯に何か疑問を投げ掛けようとしているのだろう」と語っている。

 この周波数帯の競売への参加者は11月下旬までにFCCに書類を提出することになっている。

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