PCに映し出された、大きな眼をした女の子の線画。かぶっている帽子に、薄いピンクが色づけられていく――ITの総合イベント「CEATEC JAPAN 2007」(千葉・幕張メッセ、10月6日まで)に、周囲と雰囲気の異なる“実演コーナー”がある。
日産自動車やマイクロソフトブースなどがある「1ホール」の一角。スーツ姿の男性がタブレットを使い、PC上で冒頭のようなイラストを黙々と描いている。セルシス漫画制作ソフト「ComicStudio 4.0」の実演展示だ。
経済産業省が主導する「国際コンテンツフェスティバル」(Cofesta)の一環としてCEATEC内に設置された「デジタルコンテンツコラボスクエア」というエリアで、セルシスのブースは入り口からすぐ。同社はCEATEC初出展だという。
実演しているのはComicStudioのほか、アニメーター育成システム「アニメ塾EX」、携帯電話向け漫画作成システムの3つ。それぞれのユーザー企業やクリエイターの協力を得て、実演してもらっている。
女の子の絵を描いていた男性は、セルシス製品のデモンストレーター。これまで家電量販店やコミケなどでもセルシス製品のデモを行ってきたが、ITの展示会でのデモは初めてという。
「家電量販店のデモでは、ComicStudioのユーザーさんに、漫画制作の機能についてかなり詳細に聞かれることもありますが、CEATECでは今のところ、漫画に関する質問は1度もされていません。写真を漫画風に変換する機能など、漫画以外の画像処理機能に関する質問を受けましたが……」
話を聞いたのはCEATEC初日。この一帯はあまり人通りがないこともあってまだ多くの質問は受けていないそうだが、漫画作成ソフトとCEATECという“異業種”の出会いが、ソフトやコンテンツの新しい使い方の発見につながる――かもしれない。
手書きとデジタルの融合が書道にも? ――TDKのブースでは、42V型の大型液晶タッチパネルで、“デジタル書道”を楽しめる展示を行っている。
「塗布型ITOフィルム」で作成した抵抗膜方式のタッチパネルに、ワコムのペンタブレットの技術を活用した大きな筆を組み合わせた。タッチパネル上に筆を走らせると文字が書け、筆圧によって線の太さも微妙に変わる。
「ITO」は酸化インジウムスズで、液晶パネルなどの電極として利用されている。同フィルムは同社がビデオテープ作成などで培った塗布技術を応用して開発した。蒸着やスパッタリングといった別の方式よりも耐久性が高く、大型化も容易という。タッチパネルのほか、太陽電池や有機ELディスプレイ向けフィルムなどに利用できる。
「当社はあくまでフィルムを開発していますから、タッチパネルを作っているわけではないのですが……」――TDK説明員はこう繰り返しながらも、“デジタル書道”というデモンストレーションを通じて、多くの来場者にITOフィルムの可能性を知ってもらいたい、と話していた。
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