「労働者 対 雇用者という構図ではなく、社員をパートナーととらえないと、いい人材は集まらない」――楽天の三木谷浩史社長は10月11日、東京・品川の新オフィス「楽天タワー」で、鯖の味噌煮定食をつつきながらこう話した。
同社は品川シーサイド駅前にあるビル1棟(23階建て・延べ床面積3万696平方メートル)をまるまる借り上げて「楽天タワー」を構築。8月から本社として利用しており、10月11日、報道関係者を招いてタワーの施設などを紹介した。
タワーには、オフィス機能に加え、フィットネスジムや自習スペースを設置。480席ある社員食堂「楽天食堂」は、朝・昼とも無料で利用できる。社員だけでなくアルバイトや業務委託社員も無料だ。
「Googleの食堂より100倍おいしい」と三木谷社長が自信を持つメニューは、定食、カレー、うどん、そば、パスタ、多彩で社員にも好評。「全スタッフの70%ぐらいが利用するかと思っていたが、利用率は140%(1人が1回で2食分食べる場合もある)と予想以上」
楽天は今年創業10周年を迎え、社員数は約3500人に増えた。「これまでは幹部のリーダーシップで引っ張ってきたが、さらなる成長を目指すには、社員の発想で新しいものが生まれる仕組みにしなくてはならない」――三木谷社長は社員に、自発的に動く「自走する社員」になってほしいという。
「そのために“会社に使われている感”をどう取り除くかが課題。利益相反だとうまくいかない」。無料で食堂を開放するのは、社員のパフォーマンスへの期待の裏返し。「同じ釜の飯を食べることで、会社を家族のように感じてほしい」
毎月曜日には「朝会」(あさかい)と呼ぶ、社員全員が集まるミーティングも続けている。5階には1400人が集まることができる広いスペースを確保。全国の支社をテレビ会議でつなぎ、意思の統一を確認している。
「食堂で食事をともにし、朝会に集まるのは、運動部の合宿のようなもの。楽天タワーを通じて、楽天マン・楽天ウーマンとして、共通の価値観を醸成したい」(同社の武田和徳最高執行責任者)
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