オンラインではオバマ氏の人気が高かったが、結局勝利を手にしたのはクリントン氏だった。
評論家や世論調査はまたしても間違っていた。そして、インターネットでの支持率もまたもや当てにはならなかった。
先週のアイオワ州での民主党党員集会では、当初ヒラリー・クリントン上院議員の勝利が予想されていたにもかかわらず、実際にはバラク・オバマ上院議員の快勝に終わった。一方、1月8日に行われたニューハンプシャー州の予備選では、インターネットでの支持率の高さもあり、オバマ氏が優勢と見られていたが、結局勝利を収めたのはクリントン氏だった。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を中心に選挙運動を展開していたオバマ氏を抑え、接戦の末、クリントン氏が39%の得票率で、36%のオバマ氏に勝利したのだ。
オバマ氏にとってさらに危機的なのは、同氏に多くの支持が集まった1月4日のアイオワ州党員集会とは異なり、ニューハンプシャー州の予備選では、インターネットのほとんどの世論調査で同氏が大幅なリードを見せていたにもかかわらず、それが実際の票につながらなかったという点だ。
1月4日のアイオワ州党員集会では、米Facebookや米MySpaceなどのSNSサイトを介した、オバマ氏のオンラインでの選挙活動が実を結んだ。この党員集会前に実施された各種のオンライン世論調査でも、オバマ氏はSNSサイトでの支持を背景に多くの調査でトップに立っていた。アイオワ州での同氏の勝利は、インターネットでトップの支持率を誇る候補が実際に勝利する初めてのケースとなった。同氏は、若年層や今回初めて投票する有権者、および30歳以下の女性票の過半数を勝ち取っている。
オバマ氏がオンラインでの選挙活動に力を入れていることから、アイオワ州での同氏の勝利は「オンラインでの支持は実際の得票につながるのか」との疑問を提起した。その答えは、アイオワ州ではイエスだったようだ。だが、ニューハンプシャー州では別の結果に終わっている。
実際に投票が始まっても、世論調査では、オバマ氏がクリントン氏を10ポイント以上の差で引き離していた。だがそうした支持も実際の勝利にはつながらず、クリントン氏が早々と大差を付け、そのリードを最後まで維持する結果となった。
ニューハンプシャー州の予備選では、クリントン氏は先週のアイオワ州での戦いと比べて、若年層の支持も獲得できたようだ。アイオワ州では、オバマ氏が若年層の支持を集めて勝利を収めたが、その多くはFacebookやMySpaceなどのSNSを通じて草の根的に組織化されてきたものだ。
オバマ氏はアイオワ州ではオフラインでの支持の獲得に成功したが、その勢いはニューハンプシャー州までは続かなかった。政治フォーラムサイトTechPresidentのジョシュア・レビー氏は1月8日の正午前に投稿したブログ記事で、「Webサイトへのアクセスを追跡している調査会社の米Hitwiseと米Competeによると、ニューハンプシャー州の民主党有権者が最も多くアクセスしているのはオバマ氏のサイトだ」と報告している。さらに同氏は、アイオワ州での予備選以降、オンラインでのオバマ氏の支持率がさらに高まっていることを示すリポートにも言及している。
一方、共和党に関しては、有権者が最もアクセスしているのは、Hitwiseによると、アイオワ州の予備選で勝利を収めた元アーカンソー州知事マイク・ハッカビー氏のサイト、Competeによると、ジョン・マケイン上院議員のサイトになっている。
ニューハンプシャー州では、ハッカビー氏はマケイン氏と前マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー氏に大きく離され、第3位に終わっている。
またロン・ポール下院議員(テキサス州選出)は、オンラインではほかのどの共和党候補よりも多くの資金を集めているにもかかわらず、得票率は8%程度と振るわなかった。
ニューハンプシャー州の予備選の結果は、共和党員にとっても民主党員にとっても候補指名争いが依然として予測の付かないものであることを示している。今後、ミシガン州、サウスカロライナ州での予備選を経て、2月5日のスーパーチューズデイには、24州で党員集会・予備選が行われることになっている。
アイオワ州ではオバマ氏とジョン・エドワーズ氏に破れ、第3位に甘んじたクリントン氏だったが、ニューハンプシャー州では民主党の女性有権者の過半数の支持を獲得し、見事に形勢を逆転させた。ニューハンプシャー州では、クリントン氏とオバマ氏に大きく差を開かれ、エドワーズ氏が第3位に終わっている。
Associated Pressとテレビ局の出口調査によると、ニューハンプシャー州の民主党予備選では、女性の投票数が男性のそれを上回ったという。そして女性票のうち、クリントン氏の得票率は45%と、オバマ氏の36%を大きく上回っている。
クリントン氏は8日夜、歓喜に沸く支持者を前に次のように演説した。「この1週間、わたしは皆さんの声に耳を傾け、自分自身の声も見つけ出せた。戦いは続いている。明日からもまた前を向いて進んでいこう。皆さんには、ぜひHillaryClinton.comにアクセスしていただきたい」
さらに同氏は、夫のビル・クリントン前大統領が1992年の大統領選で女性スキャンダルに見舞われながらもニューハンプシャー州の予備選で2位に付け、最終的には大統領に就任した件にも言及した。
そして同氏は、「ニューハンプシャー州がわたしに与えてくれた復活を全米に展開しよう」と支持者らに呼び掛けた。
一方、第2位に終わったオバマ氏は敗北を認めながらも、「数週間前には、われわれがニューハンプシャー州の予備選でここまで戦えるとは誰も想像していなかった。わたしは引き続き闘志を燃やしている。前進の準備は整っている」と熱弁を振るった。
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