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「オープン」「相互運用性」目指すMSの新方針(1/2 ページ)

» 2008年02月22日 14時34分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftが奥の手を出した。その一環としてスティーブ・バルマーCEOとチーフソフトウェアアーキテクトのレイ・オジー氏は2月21日に発表した、製品のオープン性を高めて相互運用性を推進するための新たな方針へのコミットメントを強調している。

 実際、Microsoftの長期的な成功は、オープンで顧客に選択肢を与えるソフトやサービスプラットフォームを提供できるかどうかにかかっているとバルマー氏は電話会見で語った。

 同社はオープンな接続、データポータビリティの促進、業界標準のサポート強化、オープンソースコミュニティーを含めた顧客や業界とのよりオープンな提携を目指した4つの新しい相互運用性方針に加え、Windowsクライアントとサーバプロトコルに関する3万ページを超える技術文書を公開した。

 この文書はほかのMicrosoft製品が(Windowsと連係するために)使っているAPIや通信プロトコルをカバーしており、これまではMicrosoft WSPP(Work Group Server Protocol Program)とMCPP(Microsoft Communication Protocol Program)を介して、機密保持契約付きのライセンスの下でしか入手できなかった。

 また今後数カ月以内にOffice 2007などほかの製品のプロトコル文書も公開する計画だ。開発者は、ライセンスを取得したりロイヤルティーを支払ったりしなくても、こうした情報を利用できるようになるとバルマー氏は言う。

 「自発的にこれらの方針を取った。これは、当社の法的な立場を反映したものではあるが、回線の向こう側で付加価値の付いたサービスが動いている、ネットワーク接続が進んだサーバ指向の世界の課題と機会も反映している」と同氏。「これで他社がわれわれからシェアを奪えるようになるが、他社が当社の製品に価値を付加できるようにもなる。リスクも伴うが、結局のところは当社に有利であり、株主価値も増すはずだ」

 今回の決定は、Windows Server 2008、Windows Vista、Office 2007などMicrosoftの売れ筋製品のオープン性を高めること、開発者、パートナー、競合他社のために相互運用性を推進し、選択肢を増やすことも狙いだと同氏は語る。

 同氏はOpen Source Interoperability Initiative(OSII)の立ち上げも発表した。ラボや技術コンテンツなどの情報を提供して、Microsoft製品とオープンソースソフトの相互運用性を向上させることを目指す。

 さらに、幅広いオンライン相互運用性フォーラムも設置し、現在進めている顧客、開発者、オープンソースコミュニティーとの対話を促進する。

 「世界各国で法的責任を全うすることにも力を入れている。今回の発表は、こうした法的責任に完全に沿ったものだと考えている」(バルマー氏)

 オジー氏は、新しいタイプの製品や技術が導入されるとき、革新が相互運用性とデータポータビリティより優先される傾向があると語った。だがユーザーがそうした製品に投入するデータが増えるに伴って、新たな問題が生まれている。

 「われわれは業界として、文書とデータが、それを作成するのに使ったアプリケーションよりもずっと長く存続することが多いということを次第に理解するようになった。文書の保存とポータビリティなどの問題は顧客にとって重要な懸念事項になっている」(同氏)

 またインターネット時代の直接的な副産物として、すべての製品が何らかの形で互いにつながり合い、システム間の相互運用性も重要問題になっていると同氏は言う。

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