キャラ作りのために、他社ゲームはもちろん、マンガ、アニメ、さらにジャニーズのラインナップを研究した。さらに乙女ゲームには声優のラインナップも重要であるため、多くの人気声優が所属する青二プロダクションに協力を依頼。キャラクターのイメージに合わせるためと、無理を言って青二以外の声優にお願いするほどこだわった。
アフレコにも参加。ミニゲームで登場する「エロ声」には特にこだわり、「もっとエロく!」とダメ出しを入れたという。
シャワーシーンで男子は必ず鼻歌を歌うという設定がある。「この鼻歌はあえて全員アドリブでやってもらいました。声優さんが普段お風呂でどんな鼻歌を歌っているのかを妄想してもらいたい」
さらに、オープニングムービーの楽曲では、乙女に人気のロックバンド「GRANRODEO」を起用。デモ画面で1曲歌い切るというファン垂ぜんのサービスもある。乙女の夢(妄想?)を詰め込んだ作品づくり、といっても過言ではなかろう。
格闘部分は少年マンガ好きの血が騒いだ。「格闘のスタイルをは『らんま1/2』みたいなイメージで考えてましたね」。アニメーションは乙女ゲームでの実績がある「ゆめ太カンパニー」に依頼した。キャラクター設定すら決まっていない状況だったにもかかわらず、こちらも白泉社同様、通いつめてようやくOKをもらえた。
そして、極めつけは「萌え」要素満載のミニゲームへのこだわりだ。
ミニゲームに「男子がシャワールームにいるときに、DSに向かって息を吹きかけて、湯気を取り払う」というものがある。これは、岡さんの妄想の産物だ。「DSの画面に裸を立たせたい、という願望から生まれたんです。上下の画面の切れ目がアノ部分なのですが、DSならこの位置以外にありえないだろうと(笑)」
汗ふきのミニゲームでは、ゲーム中で男子の「ヘブンポイント」の汗をふくと、男子が「ヘブン顔」と呼ばれる恍惚とした表情になるという機能がある。この“ポイント”は開発終了ぎりぎりだった昨年の年末に思いつき、仕様がすでに完成していたにもかかわらず、「これがなきゃダメです!」と押し切って追加したというシロモノ。妥協を許さぬ「乙女」っぷりである。
汗ふきゲーム、記者も試遊してみたが意外と難しく、男子はみるみる不機嫌な顔に……。とはいえMっ気の強い記者は、それはそれで満足した。
うまくプレイできると男子がどんどん興奮してくるため、多様な声を発するようになる。下手くそな記者に代わり岡さんがプレイすると、男子はヘブン顔を連発。周囲はえも言われぬ声に包まれた。「ここをこうするとですね……」という岡さんは、まるで動物と戯れるムツゴロウさんのようだ。
試遊した際の周囲の反応はどうかと岡さんに尋ねると、「若い人は面白がってくれましたが、年配の男性方は恥ずかしがってました。あのエロ声に……」とのこと。結局、完全に理解されたわけではなかったようだが、今では「発売ソフトラインナップの中になぜか乙女ゲームがある」と社内でも話題になっているソフトの1つのようだ。
今後はモバイルやマンガ、物販展開が予定されているが、いずれはイベントなども行っていきたいという。
「100万本とは言いませんが、100万人の女性に遊んでもらえるようなソフトにしたいです。なんせ『すべての恋する乙女のために!』がキャッチコピーですから!」と意気込みを見せる岡さん。今はネタゲー扱いだが、長く愛されるソフトにしたいとのことだ。
ミニゲームが注目されがちではあるが、基本は「恋愛アドベンチャーゲーム」。「胸キュンありホロリありです」と岡さんはシナリオにも自信を見せる。「将来的には第二、第三の『DUEL LOVE』、もしくは乙女ゲームシリーズを作っていきたいですね」(岡さん)
乙女ゲーム界の台風の目となるか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR