「民間の自主的な取り組みを一蹴し、始めから事業者規制ありきで法案の検討が進められている」――ディー・エヌ・エー(DeNA)、マイクロソフト、ヤフー、楽天と、フィルタリング大手のネットスターの5社は4月22日、自民党の谷垣禎一政調会長宛てにこんな意見書を提出した。
同党の高市早苗議員が中心となって準備している「青少年ネット規制法案」について反対を表明する意見書で、法案について6つの問題点を指摘して善処を求めている。
意見書によると、5社はこれまで自主的に、青少年保護やフィルタリングに取り組んできており、「有害情報を根絶するまでには至っていないが、相応の成果を収めつつある」という。
だが「政府の委員会では『民間の自主的な取り組みを『未だ有害情報がなくなっていない』という判断をもって問題があると一蹴され、初めから『事業者規制ありき』の手法で検討・手続きが進められている感を禁じ得ない」と批判する。
法案の問題点として、(1)民間でコンテンツの有害性を判断する取り組みを行ってきたのに、短兵急な立法化はこの努力を阻害する、(2)民間の取り組みの成果を検証していない、(3)いじめや自殺問題の根源的な理由を解決する前に、表層的な部分について、不完全な技術を使った対策を中心に据え、一足飛びに事業者規制に答えを求める結論ありきになっている、(4)有害情報の発信者に規制をかけていない、(5)海外からの有害情報にはほとんど効果がない、(6)表現規制という憲法上慎重な判断が必要な事項に対して、拙速に結論を導いている――の6つを指摘した。
その上で「法案が施行されたとしても、事態が改善する見込みがない上、憲法上の問題をはらみ、ネット文化・産業の衰退を招く可能性が高い」とし、政務調査会で善処するよう求めている。
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