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「ネット時代のニコン」へ ウェアラブル端末「UP」に映像配信

» 2008年10月08日 07時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ニコンは10月7日、ヘッドフォンとウェアラブルディスプレイ、携帯プレーヤーなどが一体化した新製品「UP」(ユー・ピー)を発表した。米Appleの「iTunes+iPod」のように、ハードとソフト、コンテンツを組み合わせた事業モデルを描き、「ネット時代のニコン」の新しいイメージを構築する構えだ。

 東京の「表参道ヒルズ」に体験ブースを設置するなど、トレンドに敏感な層に積極的に拡販。専用ソフトを通じて映像コンテンツを配信するほか、UPで閲覧できる動画投稿サイトも開設。ニコン製カメラで撮影した動画や静止画を投稿し、UPで閲覧する――という流れも作りたい考えだ。

 国内で事業モデルを確立した上で世界展開し、2013年度に世界300万台の売り上げを目指す(ウェアラブルディスプレイ&ヘッドフォン&プレーヤー=「UP」 ニコンが新製品)。


画像 UP。044型透過型LCOS(640×480×3画素)を使用し、1メートル先に17型ディスプレイが浮かび上がって見える。これまで培ってきた光学技術を駆使して設計。クリアな画質で楽しめる
画像 ディスプレイ部のアームは可動式で、右目・左目どちらでも装着可能。音楽を聴くだけの時はディスプレイを頭の上によけ、ヘッドフォン単体で使うこともできる
画像 操作は、左側のヘッドフォンに付いているジョグダイヤルと4つの小さなボタンで行う

 UPは、片目で閲覧できる眼鏡型ディスプレイとヘッドフォン、モバイルAVプレーヤー、無線LAN(IEEE 802.11b/g)によるネット接続機能などを一体化した端末。

 専用PCソフト「UPlink」(ユーピー・リンク)を使って映像(MPEG-1/MPEG2/WMV9)や音楽(MP3/WMA9/AAC)コンテンツを転送すれば、映像・音楽プレーヤーとして利用できる。Internet Explorer 6.0相当のWebブラウザを搭載し、ネット閲覧も可能だ。

画像 UPlinkの「UPdonload」画面

 UPlinkを通じて、動画配信サービス「UPdownload」(ダウンロード型)、「UPstram」(ストリーミング型)も提供。音楽プロモーションビデオやエンターテインメント情報、語学学習コンテンツなどを、テレビ番組を選ぶような感覚で選んで視聴できるという。まずは無料で配信してユーザーニーズを把握した上で、一部コンテンツを有料販売する考えだ。

 動画を投稿・共有できるサイト「UPLAB@my Picturetown」もオープンする計画。ニコン製カメラで撮影した動画をアップしてもらい、PCやUPで閲覧する――という「映像バリューチェーン」を描く。

 価格は、上位版の「UP300x」(8Gバイトメモリ内蔵)が6万9800円、ベーシックモデルの「UP300」(4Gバイトメモリ内蔵)が5万9800円。上位版はモーションセンサーを内蔵し、頭を上下左右に動かすことで音量コントロールなどが行える。


画像画像画像 利用シーンの例。電車の中やカフェなど場所を選ばず、映像や音楽を楽しめるとしている

画像 ターゲット層

 ターゲットは20〜30代の先進的な男性で、まずは専用サイト「UPSTORE」限定で販売する。UPを体験できるスペース「UPLAB」(ユーピー・ラボ)を12月7日まで表参道ヒルズに設置するほか、「PORTER」(吉田カバン)ブランドの専用キャリングケースも販売し、トレンドに敏感な層に訴求する。

 初回出荷分は5000台で、12月中旬の出荷を予定している。国内で事業モデルを確立した後世界に展開し、2013年度には世界合計で300万台を売り上げる計画だ。


画像 表参道ヒルズの体験ブース

 「ニコンはカメラブランドとして支持を受けている。デジタル化、ネット化でさらに世界を広げ、デジタルイメージングブランドにしていきたい」――同社の執行役員の風見一之映像カンパニー本部長は意気込む。

 昨年8月にはオンラインアルバム「my Picturetown」をオープンするなど、ネット事業を本格化している。「my Picturetownをハブにして、サービスや製品を展開していきたい」(風見一之映像カンパニー本部長)。「ネット時代のニコン」の新しいイメージを、UTやmy Picturetownを中心に構築していく。

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