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» 2008年10月24日 17時05分 公開

津田大介:「ダウンロード違法化」ほぼ決定 その背景と問題点 (2/3)

[津田大介,ITmedia]

 2006年より開催された私的録音録画小委員会は、2005年にこの問題を話し合っていた文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会でシリコンオーディオ機器を含めるかどうか委員の間で意見が真っ二つに割れたことを受け、新たにこの問題を中心に話し合う場として設けられたという経緯がある(HDDプレーヤーにも私的録音録画補償金が?)。

 しかし、結果としてシリコンオーディオ機器に補償金をかけるかどうかという議題は、経産省や総務省といった他省庁も含めた政治的駆け引きの中で結論を出すことができず、結果、30条の変更のうちダウンロード違法化のみが決定された。

30条改正とは

 では具体的に30条の改正とはどのような内容なのだろうか。基本的には昨年10月に公開された文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理に書かれている。該当する箇所は中間整理案100ページより始まる第2節だ。104ページには検討結果としてダウンロードを違法化した理由が書かれている。

録音録画小委員会中間整理から引用

(2)検討結果

a 違法録音録画物、違法サイトからの私的録音録画

i 第30条の適用範囲からの除外

 この利用形態については、具体的には、海賊版からの録音録画、複製物の提供を目的とした違法なダウンロード配信サービスを利用した録音録画、ファイル交換ソフトを利用したダウンロード等が想定されるが、前述の利用実態を踏まえれば、

ア ベルヌ条約のスリー・ステップ・テストに照らして考えてみても、通常の流通を妨げる利用形態であり、権利者側としては容認できる利用形態ではないこと

イ 利用秩序の変更を伴うが、違法サイトからの録音録画が違法であるという秩序は利用者にも受け入れられやすいこと

ウ 個々の利用者に対する権利行使は困難な場合が多いが、録音録画を違法とすることにより、違法サイトの利用が抑制されるなど、違法サイト等の対策により効果があると思われること

エ 効果的な違法対策が行われ違法サイトが減少すれば、録音録画実態も減少することから、違法状態が放置されることにはならないこと

などから、第30条の適用を除外することが適当であるとする意見が大勢であった。なお、この点について、仮に補償金制度で対応するとすれば、莫大な補償金が必要となることも理由の一つではないか、とする意見があった。

 これに対して、違法対策としては、海賊版の作成や著作物等の送信可能化又は自動公衆送信の違法性を追求すれば十分であり、適法・違法の区別も難しい多様な情報が流通しているインターネットの状況を考えれば、ダウンロードまで違法とするのは行き過ぎであり、インターネット利用を萎縮させる懸念もあるなど、利用者保護の観点から反対だという意見があった。

(※最後の段落の意見は筆者によるもの)


 これらの理由により、30条の変更が委員会として承認された。

「録音録画限定」「情を知って」「罰則なし」――ダウンロード違法化のポイント

 もっとも、単にダウンロードを違法化するといっても、一般ネット利用者にとっては、ネットに上がっている情報で何が適法なもので、何が違法なものかは分かりにくい。たまたまクリックしたリンクで違法なデータをダウンロードしてしまい、よく分からないうちに「逮捕」されてしまったらたまったものではないだろう。私的録音録画小委員会では、実際の運用において消費者に不便がかからないよう、いくつかの「条件」が設定されている。

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