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IntelのCEO、大企業向けSNSツールとモバイル翻訳端末を披露

» 2008年11月07日 16時02分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Intelのプログラマーは、世界120社の従業員8万6000人を結ぶソーシャルネットワーキング(SNS)ツールの開発に取り組んでいる。ポール・オッテリーニCEOが11月6日、Web 2.0 Summitで披露した。

 オッテリーニ氏はこの後イベント共同司会者のジョン・バテル氏とくつろいだ雰囲気で会話を交わし、翻訳ソフトを搭載した携帯端末の興味深いデモも披露した。

 SNSツールは大企業内でも採用できるが、これまではそうなっていなかったとオッテリーニ氏は解説した。IBM、Microsoft、Ciscoなど、ロングテールのコラボレーションソフトを手掛ける各社は異議を唱えるだろう。

 「これはあなたがたにとって好機だが、世界的な大企業を経営しているわたしにとっては必需品だ」とオッテリーニ氏は言い、8万6000人の従業員が120カ国に散らばっている状況で、SNSツールは重要だと話した。

 続いて同氏は、中国のIntelでマーケティング担当者としてリリーという名の社員を新規採用したという想定で、エンタープライズコラボレーションツールを披露した。同氏が紹介するツールを使ってリリーは新しい同僚のネットワークに加わり、eラーニングに参加。電子メール、インスタントメッセージング(IM)、チームのワークスペース、音声、ビデオを1つのポータルから活用できる。

 こうしたツールはまだIntelにもほかのどこにも存在しないとオッテリーニ氏は強調した。PfizerやIBM、Sun MicrosystemsはFacebookとLinkedInおよびコミュニケーションツールの優れたSNS要素をすべて取り入れたプロフェッショナルネットワークで数千人の従業員を結んでいるが、オッテリーニ氏はそれを見ているのかもしれないし、見ていないのかもしれない。

 実際、eWEEKは同じような製品や実験的機能を多数目にしてきたし、今回のデモはIBM、Sun、Cisco、そしてIT系ではないPfizerのような企業にさえ既に見られる技術そのままだ。

 しかし、オッテリーニ氏が先頭に立ってエンタープライズコラボレーションのプレゼンテーションを行ったという事実は、こうした技術の重要性を物語っている。市場の先導者としては、大企業がやっているのだから自分たちもその考えを取り入れてもいいかもしれないと信じるロングテール企業(後追い企業)のために、前例を作っておくことが大切なのだ。オッテリーニ氏は次のように続けた。

 企業とソフトウェアをめぐっては興味深いことがある。彼らはそれに金を払うのだ。もしあなたが興味深そうなビジネスモデルを探していて、エンタープライズのニーズをつかむ方法を見つければ、それでかなりうまく生計を立てられる。わたしの念頭にあるのはMicrosoftとOracleだ。

 過去1〜6年でSocialtext、Yammer、DimDimなどのコラボレーションソフトメーカーが何百社も作られてきたのはこうした理由による。実際、バテル氏は後に、LinkedIn、Facebook、Socialtextなどのマッシュアップのような様相だとコメントした。

 ではIntelはエンタープライズソフトの販売に乗り出すのか。それは疑わしい。しかし、Web2.0の教祖ティム・オライリー氏の「ネットワーキングはプラットフォームである」という理念をIntelが取り入れたことを示すものではある。

 オッテリーニ氏は次いで、携帯端末のデモに話題を移した。Intel従業員は壇上でこの端末を使って中国語で書かれた街の標識やレストランのメニューを英語に翻訳して見せた。音声でオーダーした内容も英語から中国語に翻訳された。この試作品はIntelが開発したのだろうか。オッテリーニ氏は、どこが端末を開発したのかは言わなかった。

 この端末はいつ発売されるのかという聴衆からの質問に対し、オッテリーニ氏は3〜4年後と予想している。

 同氏によると、2009年にIntelは、数年前に発売したノートPC向けIntel Centrinoのチップセットと同じくらいパワフルなモバイルチップセットを投入する。2011年までには現在のデスクトップ向け主力製品と同じくらいパワフルな携帯端末向けプロセッサを打ち出す計画だ。

 従業員500人を削減したライバルのAMDに比べると、半導体最大手のIntelは堅調だ。11月17日にはここサンフランシスコで、新しいNehalemマイクロアーキテクチャをベースにした初のプロセッサ発表を予定している。

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