100年後には桜が開花しなくなるかもしれない――ウェザーニューズは5月28日、グリッドコンピューティング技術を活用し、2010〜2110年までの桜(ソメイヨシノ)の開花をシミュレーションした結果を発表した。
同社が蓄積してきた桜の観測データや、政府間機構「気候変動に関する政府間パネル」が予想した気温データを利用。同社が提供するAdobe AIRアプリ「ソラマド」をインストールしているユーザーのPC 1万台と共同で計算した。
計算に利用したシナリオは3つ。21世紀末は20世紀末に比べて(1)世界平均気温が4度程度、日本は4〜7度上昇する「気温上昇最大シナリオ」、(2)世界平均気温が2.8度程度、日本は2〜3度上昇する「気温上昇平均シナリオ」、(3)世界平均気温が0.3度程度、日本は0.2〜0.3度上昇する「気温上昇最小シナリオ」だ。
気温上昇最大シナリオでは、50年後の桜の開花は、北海道で4月上旬、東北地方では3月下旬前後、東日本や西日本では3月上旬になっていた。
ソメイヨシノは、一定の期間、十分低い気温にさらされないと開花しないため、気温の上昇につれて咲かなくなってくる。同シナリオでは、八丈島で2044年、宮崎県で2087年、静岡県で2098年、東京で2109年に咲かなくなる、という結果が出た。
気温上昇平均シナリオのシミュレーションでは、咲かなくなることはなかったが、開花が10〜15日程度早くなり、気温上昇最小シナリオでは開花は1日早まる程度だった。
計算結果の詳細は、「Sakura Simulator 2009−2110」として同社のWebサイトに公開。毎年3月21日に日本のどこで咲くかを確認できる。年を追って変化を見られるほか、県ごとに拡大したり、2015年や2020年など5年ごとに年を指定して見ることも可能だ。
同社は5年前から毎春、一般ユーザーと共同で桜の成長を観察、共有する「さくらプロジェクト」を展開している。
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