肝臓移植を受けたスティーブ・ジョブズ氏がサンフランシスコのステージに立ち、Appleの新しいガジェットを披露したこと以外にも、9月9日にはもう1つビッグニュースがある。それは米Microsoftが米小売大手のBest Buy用に作成したスライドに関連したものだ。このスライドは、Linux搭載デバイス(特にNetbook)よりもWindows 7を搭載したマシンを買う方が得だという理由をBest Buyの販売スタッフに示すのが目的であるようだ。
このLinux対策スライドが本当に存在するのかMicrosoftに問い合わせたところ、広報担当者はその存在を認めた。そして広報担当者は次のように付け加えた――「Microsoftは競合が激しい市場において、パートナーが当社の製品を販売するのに協力している。このスライドは、当社が小売りパートナーに提供している数多くの参考資料の1つにすぎない。Linux搭載コンピュータとWindows搭載コンピュータとの重要な違いを販売担当者に説明するために作成されたものであり、ユーザーが期待するエクスペリエンスを提供するPCを購入する上で大いに参考になるはずだ」
言うまでもないことだが、こういったニュースが流れると、ブログの世界ではアイドルのコンサートで十代の女の子たちが金切り声を上げるような大騒ぎになるものだ。このスライドそのものが、Ars Technicaのようなサイトに現れ始めたのだから、なおさらだ。
Microsoftに確認したところ、Ars Technicaに掲載されたBest Buy向けスライド――これはAppleの製品とWindows 7を同様に比較したものだ――もMicrosoftの制作によるものかどうかは明らかにしなかった。もし本物だとすれば、このスライドは、この数カ月にわたってAppleに対するWindows製品の優位性を訴えるために展開されてきた数々の主張を繰り返すことができるようにBest Buyの従業員を訓練するために使われているようだ。その主張とは、Windows 7搭載PCはMacBookよりも相対的に安価になる見込みであり、より多くのプログラムが動作する(これも見込み)ということだ。
Linux対抗スライドでは、Microsoftは広範な分野にわたって批判を展開しており、オープンソースの競合製品であるLinuxは「World of Warcraft」などのゲームを動かせず、対応する周辺機器の数も少ないと主張する。
ブロガーやLinuxおよびAppleの各コミュニティーが展開している反論は当然ながら、LinuxユーザーはWine(エミュレータ)を使えばWindowsプログラムを実行でき、また、Windows 7アプリケーションを必要とするAppleユーザーには、デュアルブート機能やParallelsなどのプログラムを利用して仮想マシン上でWindowsを実行するなど、さまざまな選択肢が用意されているというものだ。
だが、こういった反論はやや的外れだ。というのも、Best Buyの平均的な顧客は、A地点(起動)からB地点(インターネット、ワープロ、シューティングゲームなど)に最短距離で連れて行ってくれるPCを求めているのであり、B地点に行くにはWineをダウンロードしなければならないとか、デュアルブートを使う必要があるなどと言おうものなら、彼らは目を丸くするだろう(Best Buyの顧客をバカにしているわけではない。わたし自身もBest Buyでよく買い物をする)。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR